2016年7月10日23時50分

働く喜びのABCDE 安食弘幸(47)

コラムニスト : 安食弘幸

「実に神はすべての人間に富と財宝を与え、これを楽しむことを許し、自分の受ける分を受け、自分の労苦を喜ぶようにされた。これこそが神の賜物である。こういう人は、自分の生涯のことをくよくよ思わない。神が彼の心を喜びで満たされるからだ」(伝道者の書5:19、20)

豊かな人生の秘訣は案外身近なところにあるようです。神が備えてくださった豊かな人生とは「仕事を通して人生を喜ぶ」ことです。その鍵をABCDEで紹介します。

(1)Attitude・・・仕事に対する態度は3種類あります。

「させられている」という受動的態度で嫌々ながら仕事をする人、「してやっている」という能動的な態度で恩着せがましく仕事をする人、「させていただいている」という主動的な態度で感謝と喜びをもって仕事をする人。

定年後の寂しさや、失業中の無力感を考えるなら、どんな仕事であろうとそれを感謝して喜んで働くことが重要です。

福沢諭吉は言いました。「本当に幸せな人とは今日する仕事のある人である」

(2)Best・・・成功は、人がもう終わりだ、限界だ、ダメだと思ったときのその一歩先にあります。

昔、米国でダービーという青年が、鉱山を買い取って金を掘り当てようとしました。しかし、掘っても掘っても金は出てきません。ダービー青年は失望して、諦めてその鉱山を二束三文で売り飛ばしてしまいました。

買い取った人が物は試しと掘ってみると、何と1メートル下から金の大鉱脈が発見されたのです。

ダービー青年の失敗はどこにあったのでしょうか。それは諦めるのが早過ぎたということでした。「ベストを尽くす」とは、決して諦めないことです。

(3)Cooperation・・・仕事の効率を上げるためには人と協調して働くことです。協力の法則は二乗の法則です。

1人でできる仕事量が1×1=1であるとすると、2人でする仕事量は2×2=4、3人でする仕事量は3×3=9となります。

自分に協調性があるかどうかを知る方法は、そんなに難しくありません。自分と一緒に働く人の長所をすぐに幾つも挙げることのできる人は、協調性のある人で、相手もあなたと働くことに喜びを感じているはずです。

しかし、逆の場合は、相手はあなたと働くことに苦痛を感じているかもしれません。

「人に親切にする」とは、自分の持っているものを相手に与えることではなく、相手が持っている良きものに気付かせてあげることです。それには相手の持っている良きものにまず自分が気付かねばなりません。

(4)Dream・・・良き仕事をするには良き目標が必要です。

世界最大の人材派遣会社は、マンパワー(株)社です。世界68カ国に4500のオフィスを持ち、年間200万人に職を与えています。50年前のマンパワー社は米国のミルウォーキーにある学生にアルバイトを斡旋する小さな会社にすぎませんでした。

1955年にキャロル・シャリーという26歳の女性が入社します。彼女は「この町から失業者をなくしたい」という夢を持ちます。そして失業している人にトレーニングプログラムを提供し、礼儀作法や履歴書の書き方から教え、資金が必要な人には貸し与える制度をつくり、個人の悩みも聞いてあげ、心の支えとなりました。

こうして彼女は失業者に次々と仕事を与えていきました。彼女はこの成功モデルを全米中に広げていったのです。こうしてマンパワー社は世界的な企業として成長したのです。

(5)Energy・・・仕事を進めるための力は心の中から湧いてくるものです。

外からの圧力や利益に誘導された仕事は長続きしません。米国が1929年に大恐慌を迎えたとき、ルーズベルト大統領はニューデール政策で改善を図るとともに、著名な牧師たちに依頼し「道端の講義」というラジオ番組を24時間放送し、人々の心に勇気や希望を与えて生きる意欲と力を引き出したのです。

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安食弘幸

安食弘幸

(あんじき・ひろゆき)

峰町キリスト教会牧師。1951年、島根県出雲市に生まれる。関西学院大学社会学部卒。大学時代は硬式野球、関西六大学リーグのスラッガーとして活躍。関西聖書学院卒。セント・チャールズ大卒(哲学博士)。JTJ宣教神学校講師、国内外の教会や一般企業、ミッションスクール、病院、福祉施設などで講演活動を行っている。著書に『キリストを宣べ伝える―コリント人への手紙第二』『心の井戸を深く掘れ』『道徳力―モーセの十戒に学ぶ―』『ルツの選択、エステルの決断』など多数。

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