2016年6月29日17時30分

「イエスの墓」の修復に1億3千万円寄付 米財団

「イエスの墓」の修復に1億3千万円寄付 米財団
エルサレムの聖墳墓教会内にあるエディクラ。イエス・キリストの遺体が葬られた場所の上に建てられたと信じられている。(写真:Jlascar)

イエス・キリストのものとされている墓を修復する、議論の多いプロジェクトが、大きな支援を受けることになった。ワールド・モニュメント財団(WMF、本部:米ニューヨーク)が21日、修復作業のために130万ドル(約1億3千万円)を寄付すると発表したのだ。

修復をめぐっては、50年以上議論されてきたが、この寄付によって、エルサレムにある聖墳墓教会のエディクラと呼ばれる部屋の修復作業を直ちに始めることができる。

この寄付は、米レコード会社「アトランティック・レコード」の共同設立者アーメット・アーティガン氏の未亡人マイカ・アーティガンさんが同財団を通して行うもの。これにより、プロジェクトの完了のために必要となる目標総額340万ドル(約3億5千万円)に大きく近づけた。

この修復作業は、イエスの遺体が葬られたと信じられている場所の上に建てられたエディクラを修復するもので、前回の修復から実に2世紀ぶりとなる。

聖墳墓教会は、キリスト教の6つの教派によって管理されている。しかし、各教派間の数十年にわたる議論によって、キリスト教の最も神聖な建造物といわれながらも、修復が大幅に遅れ、大部分が荒廃したままだった。

修復される予定のエディクラは昨年、イスラエル考古学庁が安全上の理由から、一時的に閉鎖するほど、非常に不安定な状態となっていた。

コプト、エチオピア、シリア、ギリシャの各正教会とカトリック教会、アルメニア使徒教会は今年3月、最終的に修復計画に同意した。

修復作業では、エディクラの周囲にある大理石の板を取り除き、12世紀に建てられたその内部の修復を行い、岩の割れ目をふさぐ作業などが行われる予定だ。

6教派間の争いは、それぞれが聖墳墓教会に対する権利を激しく主張し、守ろうとする中で、時には身体的暴力を伴った。6教派間の不信感は大きく、12世紀以来、聖墳墓教会の鍵はイスラム教徒の家族によって保管されているほどである。

エルサレム総主教セオフィロス3世は、今回の寄付を歓迎し、修復作業を前進させてくれるとし、アーティガンさんに感謝の意を示した。

「聖墳墓教会は、最も神聖なキリスト教の建造物である。その墓からのキリストの復活は、キリスト教信仰の土台であり、世界中のキリスト教徒はこの場所をその霊的な重要性のために敬っている。ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒は同じように、キリストの墓を訪ねるためにエルサレムに来る。エディクラの修復は一番重要である」

アーティガンさんは、「エディクラの修復のための主な資金提供者になれ、また多くの信仰者のため、この神聖な礼拝の場所の修復を助けることができてうれしいです」と語った。