
休業状態の歯科医院で治療をしたように装い、診療報酬を不正に受給したとして、大阪府警の元巡査部長で会社経営の今野作治容疑者(56)=大阪府豊中市=と、歯科医院を経営していた医療法人「加賀歯科医院」の理事長である加賀幸一郎容疑者(45)=徳島市=ら男7人が27日、詐欺容疑で逮捕された。朝日新聞などが伝えた。
同紙や毎日新聞によると、今野、賀川両容疑者らは昨年9月、既に休業状態だった大阪市浪速区の「賀川歯科医院難波診療室」で、実際には診察していない4人の治療を行ったように装い、架空の診療報酬を請求し、約14万円をだまし取った疑いが持たれている。
この他、今野、賀川両容疑者らは昨年7〜8月、患者約50人分の健康保険証を使い、計約360万円の診療報酬をだまし取っていた疑いが持たれている。
朝日新聞によると、今回逮捕されたのは、今野、賀川両容疑者の他に、無職の平井勉容疑者(51)=同府東大阪市、会社役員の大西学容疑者(37)=大阪市らで、警察はさらに別の5人についても詐欺容疑で逮捕状を取って行方を追っている。
毎日新聞によると、賀川歯科医院難波診療室は2006年春に開院したが、経営難により昨年7月に歯科医らが退職し、その後は事実上診察できない休業状態だったという。しかし、その後、医院の名称が変更されるなどして、不正な診療が行われていた。朝日新聞によると、同院は昨年9月末に閉院した。
両紙によると、警察は今野容疑者が不正受給を主導し、経営難に陥っていた賀川容疑者がそれに協力したとみているという。賀川容疑者は普段、徳島市の歯科医院で診療しており、不正な診療報酬の請求内容をチェックするなどしていたとみられている。
賀川容疑者は逮捕前、毎日新聞の取材に「知人を通じて経営権の譲渡書類を(今野容疑者に)渡した。医院を乗っ取られ、架空請求に協力させられた」と話していたという。
一方、今野容疑者は産経新聞の取材に対し、経営権の譲渡に関する書類は見たことがないとし、「別人物が勝手に作成したのではないか」と指摘。「(賀川容疑者に)資金を貸し付けたことはあったが、不正受給は知らなかった」と話しているという。
今野容疑者は、大阪府警曽根崎署に在籍時、暴力団対策を担当していたが、暴力団関係者との親密な交際を指摘する声が上がっており、2002年7月、不動産会社の社長と不適切な交際があったとして、減給の懲戒処分を受け、依頼退職していた。その後は、コンサルティング会社を経営し、産経新聞によると、賀川容疑者とは昨年知り合ったとみられているという。