2016年5月26日07時10分

死に勝るいのちを得て―がん闘病817日の魂の記録―(69)人の計画と神の計画 米田武義

コラムニスト : 米田武義

人の計画と神の計画

ヤコブの一生を見ていると、私の人生と似通ったところもあり、非常に教えられるところが多い。

彼は、母親の偏愛を受けた。母親と共同して、双子の長子の祝福を得た。この一見大したことではないと思われることが、ヤコブの生涯を決定した。長子の権利を得るといっても、事実上は父親に祝福してもらっただけであったが、これが元で兄の怒りを買い、逃亡してカランに行くことになり、結果的には多くの財を蓄えることができた。

もし長子の祝福を得ようということをしていなかったならば、兄の怒りも買わず、従ってカランにも行かず、財の蓄えもなかったに相違ない。そして、生涯兄の元で、使用人としての一生を送っていたであろう。

私が弟より先に入社して社長になり、実質会社のオーナーになったのも、母親の勧めがあった。もちろん、私もそれに同意し、共同工作した。いろいろな思いや紆余曲折があったが、結果的には母親の思惑通りになった。私も長年の間には、母親の思惑から遠く離れたり、逆方向に進んだりしたこともあったけれども、結果は母親のものと同じとなった、といういきさつがある。

アブラハムと妻サラは、各々100歳と90歳の時に、子どもを授かるとの神の仰せを得た。2人とも高齢であったので、共に心の中で、そんな馬鹿なことが・・・と信仰を持てず、心の中で笑った。もちろん、信仰の人たちであるからすぐに打ち消してはいるが・・・。神様はこんな2人の信仰をも怒らず、結果的に彼らに子どもを授けられた。

「人の心には多くの計画がある。しかし主のはかりごとだけが成る」(箴言19:21)

私たちには理不尽に見えたり、偶然成功したように見えたりすることも、全て神の計画線上にあるもののみが成る。

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米田武義

米田武義

(よねだ・たけよし)

1941年4月16日、大阪生まれ。大阪府立三国丘高等学校、国立静岡大学卒業。静岡県立清水東高校定時制教師を勤めた後、東北大学大学院、京都大学大学院(国土防災技術国内留学生)で学ぶ。国土防災技術を退職し、米田製作所を継承する。2008年4月8日、天に召される。著書に『死に勝るいのちを得て―がん闘病817日の魂の記録―』。