2016年5月25日13時17分

オンリーワンこそ、ナンバーワン 菅野直基

コラムニスト : 菅野直基

イソップ寓話の「うさぎとかめ」は、二つの人生観を表していると思います。一つは「ナンバーワン志向」、もう一つは「オンリーワン志向」です。

まず「ナンバーワン志向」を持って生きているのが「うさぎ」です。うさぎの目標は、とにかく「ナンバーワン」になることにありました。この場合は、かめに勝つということです。ですから、自分が勝つことを確信したうさぎは、途中で昼寝をしてしまいました。

ところが、「オンリーワン志向」を持って生きているのが「かめ」です。かめの目標は、理性的に考えたらうさぎに勝てっこありません。しかし、「オンリーワン」であることを目指しました。とにかく自分のベストを尽くしました。

この勝負は、「オンリーワン」を目指した「かめ」に軍配が上がりました。

二つの人生観があります。負けず嫌いの「ナンバーワン指向」。もちろん悪くはありません。しかし「ナンバーワン」になることだけに目標を持つならば、うさぎのような結果を招くようになり得ます。

ある時は、他の誰かと勝負して勝つことが重要な場合があります。しかし、同時に大切なのは、その勝負の本当の競争相手は自分自身だということです。自分と戦い、自分のベストを尽くすことです。つまり「オンリーワン志向」です。

かめにとっては、陸上は自分のテリトリーではありませんでした。これが反対に、水中ということになったら、うさぎのテリトリーではありません。しかし、そこで「自分が得意とする場所ではないのでやる気にならない!」とは言わないで、自分のベストを尽くしました。

今の時代、このかめのような生き方、「オンリーワン志向」が必要とされています。もちろん、「ナンバーワン志向」は持たないでいいというのではありません。オリンピックで金メダルを取ること、選挙に勝つこと、希望した学校に入学し、希望した会社に就職し、仕事で成果を出し、成功者になること、どれも素晴らしいことです。それが、自分のベストを尽くした結果であったということなら、何倍にも素晴らしいと思います。

「ナンバーワン」であることを意識しつつも、大切なことは、いつでも自分のベストを尽くしていくことです。いつでも自分を磨き、向上しようとする心を持つことです。その結果として、それがナンバー2であったとしても、それは、自分のベストを尽くしたのですから、ナンバーワンなのです。

必ずしも、「ナンバーワンがナンバーワン」なのではなく、「オンリーワンこそがナンバーワン」なのです。うさぎとかめのかめから、そんな生き方を学んでいきたいものです。

「ですから、私の愛する兄弟たちよ。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは自分たちの労苦が、主にあってむだでないことを知っているのですから」(Ⅰコリント15:58)

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菅野直基

菅野直基

(かんの・なおき)

1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッションなどの地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での賛美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式など、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。

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