2016年3月29日16時01分

FINE ROAD―世界の教会堂を訪ねて(19)イギリスの教会①コヴェントリー大聖堂 西村晴道

コラムニスト : 西村晴道

Coventry Cathedral
設計者 Sir Basil Spence 建設 1961年
2011年5月2日訪問
爆撃で焼け残った旧聖堂に並んで建つ新しい聖堂

ロンドンのユーストン駅(Euston Station)からバーミンガム行きのヴァージントレイン(Virgin Train)に乗る。緑の田園、馬や羊がのんびり草を食むゆるやかな丘、川に浮かぶボート、時々現れる町、すぐにまた緑の野原、イギリスは緑の季節、1時間半でコヴェントリー駅に到着。大きい町だ。駅からタクシーで5分くらい走ると大聖堂に着いた。

第二次大戦中、工業都市のコヴェントリーはドイツの爆撃を受け破壊された。壊滅した跡地に、戦後新しい大聖堂が建設され、新旧二つの聖堂が並んで建っている。

歴史的建造物であったゴシック建築の聖ミカエル大聖堂は、黒こげになった骨組みと空を突き刺すかのような尖塔が残されている。黒く焼け焦げた古い聖堂は広島の原爆ドームを連想させる。またベルリンのカイザー・ウィルヘルム皇帝記念教会も第二次大戦の記念碑として崩れ落ちた姿のまま遺され、隣接して新聖堂が建設されているのを思い出した。

新しい聖堂は現代的なデザインで大変美しい。内部も格子状の天井、芸術的な聖壇壁画、モニュメントなど印象的であり、ステンドグラスを通して静かな光が注ぐ広い空間が祈りの場をつくっている。

ちょうどオルガンコンサートが始まり、しばしその豊かな音色に包まれ、時を過ごした。

FINE ROAD―世界の教会堂を訪ねて(19)イギリスの教会①コヴェントリー大聖堂 西村晴道
旧聖堂と新聖堂

新聖堂 外観正面

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FINE ROAD―世界の教会堂を訪ねて(19)イギリスの教会①コヴェントリー大聖堂 西村晴道
FINE ROAD―世界の教会堂を訪ねて(19)イギリスの教会①コヴェントリー大聖堂 西村晴道

内部

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正面 格子状の天井
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聖壇
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聖卓
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説教台
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会衆席
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FINE ROAD―世界の教会堂を訪ねて(19)イギリスの教会①コヴェントリー大聖堂 西村晴道
外に見えるのが焼け残った旧聖堂の骨組み

洗礼コーナー

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ステンドグラスと洗礼盤
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洗礼盤 貝殻の模様
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小礼拝室A
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祈祷室

十字架塔内部 小礼拝室

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西村晴道

西村晴道

(にしむら・はるみち)

1948年、靜岡県生まれ。一級建築士。法政大学工学部建築学科卒。住友建設株式会社入社・退職し、米ソービック建築設計事務所短期留学を経て、84年に西村建築設計事務所開設。ルーテル学院大学第10回リード賞(キリスト教芸術分野)受賞。日本福音ルーテル教会員。著書に『FINE ROAD―世界のモダンな教会堂をたずねて』。