2015年12月14日15時33分

無神論者、「聖書なし」のホテル客室求める呼び掛け 代わりにダーウィンの「種の起源」設置求める

翻訳者 : 木下優紀

無神論者、「聖書なし」のホテル客室を求める呼び掛け 代わりにダーウィンの「種の起源」設置求める
ホテルの客室に通常設置されている、国際ギデオン協会の聖書(写真:FFRF)

無神論者と不可知論者の米国最大の団体「宗教からの自由財団」(FFRF)は7日、すべてのホテルの客室から国際ギデオン協会が寄贈した聖書を撤去し、代わりにチャールズ・ダーウィンの「種の起源」を置くよう求めるキャンペーンを始めた。

国際ギデオン協会は、ホテルでの働きが全世界に知られているが、協会のウェブサイトによると、主として学校や大学、刑務所や拘置所、病院、医療機関に聖書を寄贈している。この団体は、個人的に伝えたり、聖書や新約聖書を配布したりすることで人々にイエスを伝えることに貢献している、クリスチャンのビジネスマンや専門家とその配偶者の団体でもある。

しかし、FFRFの7日の発表では、国際ギデオン協会に対し、「監禁した客を改宗させるためにホテルやモーテルを搾取している」と告発。全米ホテル・モーテル協会に対し、聖書を撤去するよう申し入れた。

FFRFはウィンダム・ワールドワイド、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(ホリデイ・イン)、チョイス・ホテルズ・インターナショナル(クオリティ・イン)、ヒルトン・ワールドワイド、G6ホスピタリティ(モーテル6)、マリオット・インターナショナル、ベスト・ウエスタン、カールソン・ラジドール・ホテルズ(ラディソン、カールソン、カントリー・イン)、スターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ(シェラトン)など多くの企業に書簡を送った。

FFRFの共同代表ダン・バーカー氏とアニー・ローリー・ゲイラー氏は、所属する2万3千人の無宗教の会員を代表し、「毎日聖書を読まなければならない人は、自分の聖書を持ち歩くよう確実に注意するでしょう。そうでない人は、休暇の間に心無い伝道から距離を置く権利があります」とつづった。

「御社の顧客の多くは、無神論者、不可知論者、懐疑論者、『どれでもない』人々などの自由思想家であり、自分たち自身の客室内のプライバシーの中ですら伝道されるために高い料金を払わされ、深く攻撃されています。それだけでなく、聖書は信じない人、背教者、同性愛者、『手に負えない息子』、聖書のダブルスタンダードから逸脱する女性を殺すよう呼び掛けているのです」

FFRFによると、ガンズヴォート・ホテル・グループはリクエストのある場合にのみ聖書を提供しているので、顧客により適切な環境を与えているという。多くのデザイナーズホテルも、標準的な接客としては聖書を提供しない。

英国のトラベロッジも2007年、キリスト教徒でない顧客により快適に過ごしてもらうため、客室から聖書を撤去した。

トラベロッジはニュースサイト「ザ・ブレイズ」に対し、「トラベロッジは2007年、客室から聖書を撤去し、貸し出すために受付に置くことを決定しました。この決定は、顧客に対する調査結果と、現に私たちが多文化社会に生きているという事実をもとにしています」と声明を発表した。「よって、すべての宗教を差別しないために、聖書の貸し出しを希望する顧客は国内の500カ所のホテルの受付にある机から、滞在中いつでも聖書を持ち出すことができます」

FFRFは、聖書の撤去の件で連絡した企業15社は、米国内の3万3千カ所のホテルと世界中の410万以上の部屋について責任を持つと語った。