2015年1月3日20時43分

発見!「♪イエス、ヤーマイモ〜」の謎

記者 : 行本尚史

発見!「♪イエス、ヤーマイモ〜」の謎
フランク・フォートゥナト、ポール・ニーリー、キャロル・ブリネマン共著の『All the World is Singing(全世界が歌っている)』という本とその付属CD

「♪イエス、ヤーマイモ〜 ♪イエス、ヤーマイモ〜」

確かに、そう聞こえる。西アフリカはセネガルの賛美歌。「♪イエス、ヤーマイモ~」と歌っている。

同僚の編集者にもいわば証人として聴いてもらったが、彼いわく、「ちゃんとそう言っていますね」と言う。「(歌が頭の中から)離れないですね」とも。

これは、フランク・フォートゥナト(Frank Fortunato)、ポール・ニーリー(Paul Neeley)、キャロル・ブリネマン(Carol Brinneman )共著の『All the World is Singing(全世界が歌っている)』という英語の本に付いているCDに収録された一曲。

数人の歌手たちが、ジャンベという西アフリカの太鼓とアコースティック・ギターの軽快なリズムに合わせて、「♪イエス、ヤーマイモ〜」と繰り返し歌っている。

CDには、ガーナ、セネガル、ブルキナファソ、パナマ、パプアニューギニア、インド、スーダン、エストニア、タンザニア、ブラジル、ケニア、カメルーン、モンゴル、インドネシア、キルギスタン、米国(先住民族)、フィリピン、トーゴなどのキリスト教の歌が収録されている。

この曲を読者の皆さんにも聞いてほしいと思い、筆者はこの歌の音源ファイルに関する著作権使用許諾について、同書の出版社に問い合わせようとした。ところが、同書を2006年に出版した米国と英国の出版社である Authentic Publishing のホームページは、内容が他のものに変わってしまっている。ドメイン名が売りに出されているのか、この出版社が現在はもうなくなってしまったのかは不明だが、とにかく、この出版社に詳細を問い合わせ、音源を公開し、読者の皆さんに聞いていただくことは残念ながらできない。

発見!「♪イエス、ヤーマイモ〜」の謎
「ヤマノイモ」「ヤマイモ」とも呼ばれる自然薯(写真:7'o7')

ただ、そのCDには、「18 Senegal (Wolof)」という名前のフォルダが入っている。Wolof(ウォロフ)とは、プリンストン大学の英文サイトなどによれば、セネガルやガンビア、モーリタニアに住む部族のことで、ウォロフ語を話し、ウォロフ族はセネガルでは主要な部族だという。

そして、そのフォルダには、録音されたセネガルの3つの歌のmp3など15のファイルが入っており、そのうちの一つのファイル名は「Wolof - Yeesu yaa may moom (Jesus) I belong to you」となっている。また、同じフォルダの中にある「Wolof song lyrics」というワードファイルには、おそらくウォロフ語と思われるその3つの歌の歌詞全部とその英訳が収められており、その一番下にある歌にもやはり「Yeesu yaa may moom (Jesus, I belong to you)」という題が付けられているのだ。

「ヤマイモ」って「山芋」かと思っていたら、この歌は「イエス様、私はあなたのものです(Jesus, I belong to you)」という、信仰の歌だったのである。

あっ、次の曲が始まった。次は、ジャガイモ?それとも、サツマイモ?