2013年9月16日09時47分

ルカの福音書身読の手引き(99) 宮村武夫牧師

宮村武夫牧師

手を上げて祝福された
ルカの福音書24章50~53節

[1]序

今回は、いよいよルカの福音書の最後の箇所です。使徒信條において、「天にのぼり、全能の父なる神の右に座したまえり」と告白する中で「天にのぼり」に重なります。使徒の働きの最初の部分も注意しながら、この短い箇所を味わいます。

[2]復活の主イエスと弟子たち

(1)「それから、イエスは、彼らをベタニヤまで連れて行き、手を上げて祝福された」(50節)

①復活の主イエスが弟子たちを導かれる。

②弟子を祝福なさる。

(2)「イエスは苦しみを受けた後、四十日の間、彼らに現われて、神の国のことを語り、数多くの確かな証拠をもって、ご自分が生きていることを使徒たちに示された」(使徒の働き1章3節)

[3]主イエスの昇天、全能の父なる神の右に座し

(1)弟子たち、喜びを抱いて礼拝、24章52、53節
神の宮で約束の救い主を待ち望む民の姿。約束の救い主の誕生の際(2章10節)と同様、救い主の御業の完成を喜ぶ民の姿を見ます。参照マタイ28章9、17節、ルカ24章52節新改訳脚注。

(2)弟子たちの使命
礼拝する弟子たちが、48節に見る、「これらのことの証人」(使徒の働き1章8節)として、使命を果たすために父なる神の聖霊の約束(使徒1章6節、2章33節、ヨハネ14章16節、15章26節、16章7節)を受け、主イエスに従い進む姿を使徒の働きにおいてルカは描いて行きます。

[4]結び

(1)ルカの福音書の最後は、弟子たちの礼拝で結ばれています。ルカの福音書を読み進めて来た私たちもこの礼拝の民に加わるよう勧められ、その勧めが、時と場所を越えて、今、このように実現しています。驚くべき恵みの波紋です。

(2)礼拝の喜びと使命を果たすことが堅く結ばれています。礼拝の民に加えられた者が礼拝を通して、使命とそれを果たす力の源を教えられます。使命を果たす力は弟子たちのものではなく、礼拝されるお方から与えられる事実を経験するように勧められています。

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宮村武夫(みやむら・たけお)

1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。

主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。