2012年11月20日09時56分

イスラエル、ハマス停戦交渉難航、犠牲者増加懸念

  ガザ地区の攻撃で負傷した民間人が、緊急治療のためエジプトへ運ばれている(写真提供:国連)
 パレスチナガザ地区において、同地区を実効支配しているイスラ原理主義組織ハマスの威嚇攻撃に対し、18日までの5日間にわたってイスラエル軍が攻撃を行ったことを受け、97人の犠牲者、750人もの負傷者が生じた。19日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。

 エジプトのヒシャム・カンディル首相はロイター中東投資サミットにて「停戦交渉が進展しており、現行の暴力および暴力に対する報復活動は直ぐにも停止される見込みである」と伝えた。

 ガザ地区におけるイスラエル軍とハマス間紛争の停戦交渉は、アラブ連盟および世界各国が停戦交渉に関与し、ただちに暴力活動が収まる道を模索している。カンディル首相は「すぐにも停戦になる見込みであるが、このような交渉は体質として先行きを予測することが非常に難しい」と付け加えた。

 先週末にかけてイスラエル軍が発射した弾丸ではガザ地区民間人24人が犠牲となった。イスラエルのモシー・ヤーロン副首相はツイッターを通して「南部における攻撃が止み、イスラエル市民に向けて如何なる弾丸も発射されず、いかなるテロリストもガザ沿岸部から攻撃しないのであれば、我々も攻撃しない」と伝えている。

 イスラエルとハマスの停戦交渉を仲介するエジプト政府は、少なくともさらなる交渉を行うことによってガザ地区で行われている暴力行為を収められることを期待している。

 国連事務総長の潘基文氏も同地区へ向かい、中東諸国指導者らとともに会談を行った上で18日、「ガザ地区での攻撃は停止されなければならない」と述べ。エジプト政府がイスラエルとハマスの交渉役を担っていることを支持した。

 パレスチナのアッバス議長も潘基文氏と会合を行う予定であるという。イスラエルのネタニヤフ首相の停戦交渉における役割は定かではないが、エジプトでの停戦交渉にはイスラエルから特使らが派遣される予定であるという。ハマスはパレスチナのイスラム教スンニ派の政治団体である一方、米国および欧州連合からはテロ組織として認知されている。

 ハマスはエジプトで最も重要な政治集団ともいわれるイスラム教与党政党であるムスリム同胞団とつながりをもっている。

 イスラエル政府はハマスに対して一貫した見解を提示し続けている。ネタニヤフ首相は18日、「我々はハマスおよびその他のテロ組織に高い代償を要求する。イスラエル国防軍(IDF)は十分に迎撃する準備をしている」と記者会見でこれまでと同様の見解を伝えた。

 イスラエル政府は14日からガザ沿岸に国防軍を展開しており、ハマストップ高官の一人を殺害したと報じている。

 IDFは今回の攻撃による殺害はハマスによる高まる威嚇攻撃による報復措置であるという。以降、イスラエル軍とハマスはガザ地区で十弾攻撃を繰り返し、3人のイスラエル人および多くのパレスチナ人犠牲者が生じるに至っている。

 イスラエルとハマスの停戦交渉はエジプト政府以外にもアラブ連盟他16カ国政府外相がガザ地区に集い、停戦交渉に参加する予定であるという。