イスラエル軍は21日、レバノン南部のキリスト教徒の村で、十字架にかけられたイエス・キリストの像を破壊し、その様子を撮影したとして、兵士2人を戦闘任務から外し、30日間の軍事拘禁処分とすると発表した。
事件は、マロン典礼カトリック教会(マロン派)の信者が多く住む小さな村、デベルで起きた。米CNN(英語)によると、デベルはイスラエル軍が現在、事実上占領下に置くレバノン南部の55の町や村の1つ。
パレスチナ人ジャーナリストのユニス・ティラウィ氏が19日、イスラエル兵が大型ハンマーで、十字架から取り外されたキリスト像の頭部を打ち砕いている写真を、X(旧ツイッター)に投稿(英語)したことで急速に拡散した。
ロイター通信(英語)によると、破壊されたキリスト像は、村の外れに住む一般家庭の庭にあった小さな祭壇の一部だった。デベルのファディ・ファルフェル司祭は同通信に、「一人のイスラエル兵が十字架を壊し、私たちの聖なる象徴を冒瀆(ぼうとく)する恐ろしい行為を行いました」と語った。
イスラエル軍は21日、Xで調査結果(英語)を公表。兵士らの行動は「軍の命令と価値観から完全に逸脱」したものだったとし、「深い遺憾の意」を表明。「レバノンでの作戦は、ヒズボラのテロ組織やその他のテロ集団のみを標的としており、レバノン市民に対しては一切向けられていないことを強調する」と述べた。
その上で、キリスト像を破壊した兵士と、その様子を撮影した兵士の2人を戦闘任務から外し、30日間の軍事拘禁処分とするとした。さらに、現場に居合わせながら制止も報告もしなかった他の兵士6人については、後日調査のため召喚し、追加の指揮系統レベルでの措置が取られる可能性があるとした。
イスラエル軍は、その後のXへの投稿(英語)で、損傷したキリスト像については、地元のコミュニティーと協力し、新しいものに交換したことも明らかにした。
事件を巡っては、批判の声が各方面から上がり、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相も、兵士らの行為を非難し、遺憾の意を表明していた。
ラテン典礼エルサレム総大司教ピエルバッティスタ・ピッツァバラ枢機卿が議長を務める「聖地カトリック裁治権者協議会」(AOCTS)は、20日付の声明(英語)で、「キリスト像の冒瀆に対する深い憤りと全面的な非難」を表明。「即時かつ断固とした処分、信頼に足る説明責任のプロセス、再発防止の明確な保証」を求めていた。
ネタニヤフ首相は同日、Xへの投稿(英語)で、「最も強い言葉でこの行為を非難する」と表明。「事件に対し、また、レバノンと世界中の信者に与えたあらゆる痛みに対し、遺憾の意を表明する」と述べていた。
ローマ教皇レオ14世は、事件に対してこれまでのところ直接的な発言はしていない。一方、事件の約2週間前の7日には、デベルに住むキリスト教徒らに対し、バチカン(教皇庁)国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿を通じて、慰めと共感を示すメッセージ(英語)を送っており、特別な関心を示していた。


















