日本聖書協会が主催する毎年恒例のクリスマス礼拝が5日、日本基督教団渋谷教会(東京都渋谷区)で行われた。今年は礼拝後に、聖書普及事業150周年を感謝するコンサートを第2部として開催。陣内大蔵さん、久米小百合さん、Migiwaさんの3人のクリスチャンアーティストが出演し、それぞれのオリジナル曲やクリスマスにちなんだ曲などを歌った。
礼拝は、日本聖書協会の菊地功副理事長(カトリック枢機卿、東京大司教)が聖書朗読と祈祷を行い、具志堅聖総主事がイザヤ書60章1~6節から、「主の栄光があなたの上に」と題してメッセージを伝えた。
具志堅氏は初め、今も各地で紛争が絶えない世界情勢や、物価高などにあえぐ国内の状況、また各個人が持っているであろう内面的な暗闇に言及。「しかし、その最も深い闇の中にこそ、神の栄光は、奇跡と呼べる形ではっきりと見えるのです。それが、クリスマスの希望です」と言い、この世界に神の御子であるイエス・キリストが降誕されたことの恵みを語った。
イザヤ書60章は約2500年前、イスラエルの民がバビロン捕囚から帰還したばかりの頃に書かれたと考えられている。当時、エルサレムの町は破壊され、神殿は焼け落ち、人々の心は打ち砕かれている状況だった。しかし、そのような希望の見えない状況の中で、神は「起きよ、光を放て」(1節)と語られるのだと具志堅氏。「神は私たちに、ただ座って待つことを命じておられません。闇の中でこそ清くあれ、闇の中でこそ立ち上がれ、と命じているのです」「闇が深くなればなるほど、同時に光は強く輝くのです」などと伝えた。
コンサートは、3人のアーティストがそれぞれソロで歌ったほか、2人や3人など、さまざまな組み合わせで歌唱。参加者も歌詞の一部を歌ったり、手拍子でリズムを合わせたりしながら楽しんだ。
最初にステージに立ったMigiwaさんは、オリジナル曲の「マリアの賛歌」で始め、ベートーベンの「歓喜の歌」をロック風にアレンジしたという「喜びたたえよ」をギターの弾き語りで歌った。続いて、陣内さんは、一番好きな曲だという「やすかれわがこころよ」や「アメイジング・グレイス」をピアノの弾き語りで届けた。
久米さんは、東日本大震災で被災した小学4年生の詩など、子どもたちが書いた詩を朗読しつつ、震災孤児を預かる人から手紙をもらった自身の体験を紹介。アイルランド民謡に歌詞を付けた賛美歌「この世の波風さわぎ」を歌った。Migiwaさんも、熊本地震の被災地を訪れた体験をもとに作った「祈り歌」を歌い、苦しむ人々に心を寄せた。
久米さんと陣内さんは、それぞれのヒット曲「異邦人」と「空よ」も披露。3人全員では、陣内さんが作詞・作曲した唯一のクリスマス曲だという「Christmas to All」や、代表的なクリスマス曲のメドレーを歌った。また、現在映画が上映中のナチス・ドイツ時代の牧師・神学者であるディートリヒ・ボンヘッファーが、獄中で書いた詩から作られた賛美歌「善き力にわれ囲まれ」も3人で歌った。
最後には、参加者も一緒になって「きよしこの夜」と「もろびとこぞりて」を賛美。「きよしこの夜」を歌う場面では、照明を暗くし、参加者がろうそく型のペンライトで光をともして歌う演出もあった。
コンサートはチャリティーとして行われ、参加者には、海外の聖書普及や日本手話訳聖書、点字聖書のための献金を呼びかけた。募金部の中村真之介主事は、戦火にありながらも多くの人が聖書を求めているウクライナの状況や、手話による聖書が聴覚障がい者にとっていかに重要かなどを話し、協力を求めた。

















