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さくら時計

さくら時計(最終回)エピローグ 星野ひかり

2022年3月4日11時23分 コラムニスト : 星野ひかり
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さくら時計(1)プロローグ 星野ひかり+

長く、イエス様と共にさくら色の花びらのさくら時計の針に乗って、記憶を旅してまいりました。甘く、悲しい記憶の旅に、イエス様は何度でも私を連れて行ってくださいます。幼子の私は、イエス様を見上げてほほ笑みました。

「イエス様、また少しだけ分かった気がする。天のお父様はきっと、私を特別に愛しておられたのね」。イエス様はほほ笑んで、うれしそうにうなずいてくださいました。

人生とは、人一人の人生とは、何度思い返しても足りぬほど神様のわざのように奇(くす)しく、神様の愛のように深く、神様ご自身のように神秘的なものでありましょう。そんな人生を一人一人が与えられていることを思うと、人は誰もが ‘神に似せて造られた’ と言われるにふさわしく、神様に特別に愛されたものであることが分かるようです。

自分の人生を愛する道は、人の人生もまた、自分と同じように神に取り扱われたものとして、尊べるようになれる道へとつながってゆくものです。そして互いを、尊厳をもって扱い合い、差し出し合えることが、クリスチャンの交わりの素晴らしいことでありましょう。

今日は午後から、教会の姉妹が私の家を訪ねてくださいます。私は腕をまくり、大慌てで、家じゅうのふき掃除をしています。庭に育ってくれたハーブたちを特別にブレンドしたスペシャルティーの準備もよし、朝から台所に立って型に流し込んだレモンゼリーも冷蔵庫でプルプルに固まってきたことでしょう。

庭の水やりを代わりにやってくれているしとしと雨も、午後にはやんで晴れの予報。部屋の中は、心地よい湿り気で満ちています。私の家は、天井いっぱいにドライフラワーが吊るされており、‘花の家’ と呼ばれておりました。生花は猫たちの口に苦いため、飾らずに吊るしておりました。また、乾かしたたくさんの薬草の類も一緒に吊るされておりました。それらが季節の湿気を含んで、ほのかに香っておりました。

「おとなしくしているんだよ、今日はお客さんが来るんだから」。猫たちに言って聞かせます。まるで分かってくれたかのように、猫たちは「ニャァ」と鳴きました。

そうこうしているうちに、鈍くチャイムが鳴りました。お客様を椅子に座らせると、テーブルの上の古びた燭台に、火をともします。主も共にこの交わりのなかにおられ、温かくまぶしく照らしてくださることを知るのです。

お茶とレモンゼリーを並べ終わると、主の姉妹である私たちは共に主に祈り始めるのです。

「抱えきれないことがあるの」。姉妹は重い唇を開きます。すると、さくら色の花びらのさくら時計が現れて、私は姉妹の記憶のなかに、共に旅させていただくのです。ともに旅してくださるイエス様の胸からは一筋の光が放たれており、姉妹の悲しい記憶の中をもその光は照らし出そうとしておりました。

‘インマヌエル、私たちの主は、共におられる主である’

さくら色の花びらで縁取られたさくら時計の針が回ります。暗やみを照らすまことの光はもうこの世界に来ており、その光は、闇をすべからく明るく照らし出してくださいます。

‘ハレルヤ、主と共に在りし恵みの時よ’

どんな悲しみの淵をも、死の予感のある谷間をも、さくら時計の針に乗って私たちはめぐり、歌いゆこうとするのです。

‘いつも喜んでいなさい
たえず祈りなさい
すべてのことに感謝しなさい’(1テサロニケ5:16〜18)

嗚呼、そうでありましょう。なぜならあなたはいつも共におられるのでありますから。

「私を一人にしたことはないの?」不思議そうに私たちは問いかけます。主は目じりを細めて笑うでしょう。その目は言うようです。「わたしの愛を知らないのかい?」

そのお優しく、すべてをご存じである瞳は、私たちの髪の毛を一本残らず数える瞳であるのです。主の目に隠れることなど、私たちにはできることではないにもかかわらず、私たちはそっぽを向いていじけます。「そんなはずはないわ」。主は、ご自身の飼われる羊のように、大切に私たちを抱き上げておっしゃいます。「わたしを知りなさい」と。

しかし、私たちにあなたを知ることなどできないのです。愛の欠けた私たちに、あなたのすべからく尊い愛をすべて分かることなどできないのです。それでも少しでも捉えたいと、私たちは願っています。だから今日も、指を組み、こうべを伏して、炎よりも熱く、世界のどんな深い暗やみにも届くほどの光であるあなた様のことを知りたいと、祈るのです。

私は、真夜中に乾燥させたハーブを使ってチンキを作っておりました。ローズマリーなどを瓶に詰めて、度数の高いお酒で漬けて作るのがチンキです。それはうがい薬にもなりますし、部屋の掃除によいスプレーにもなるのです。私は夜の静寂の中で、いろいろなチンキを作って、消毒液に、かゆみ止めに、傷跡に…さまざまな効能を持つチンキを作ることが好きでした。空高くに昇った月が、徐々に西に沈んでゆくことも感じられるような、真夜中の静寂の中の作業が好きでした。窓を開けて確かめなくても、体で感じられるのです。今も神様が吹かせた風に乗って、種が運ばれて柔らかな土に横たわり、今も今も新しい種たちが根を伸ばし、芽吹いています。私の大好きなキバナコスモスが風に踊っているさまも、見えるような気がします。そうしていると私の胸に、あなたのお与えになったこの ‘世界’ が膨らんでゆくのです。古木がきしみながら倒れ、長い時をかけて土へ還り、虫たちの養分になり、大地を肥やしてゆこうとします。命を育て、養う神様のちからと意思を感じながら、小さな手のひらにハーブを取ります。

神様はどんなささやかないのちをも、その愛のみ手の上で養っておられます。その愛の大きさ、深さは、この深淵なる宇宙の広さであっても語り尽くせるものではないのかもしれません。こんなに小さな私でさえ、これほどに愛され、その目に隠れているところなどないのです。あなたの衣の裾にさえ触れることのできぬ思いで、それでも少しでも捉えたい思いで、私はハーブを漬けました。

私の人生のその一日もないうちに、すべてをご計画しておられた主が、私にこの日をも与えられたことを思うと、あなた様の書かれた書物のページをまた開きたくなってしまいます。奇しきこの人生を、あなたはお与えくださいました。私は何度それを振り返っても足りぬほどです。私のために記されたその書物を、あなたの愛の筆で描かれ、私に与えられたこの人生というギフトを、私はもっと知りたいと思うのです。それはあなたを知り、あなたを愛する旅であるのですから。

嗚呼、さくら色の花びらで縁取られた時計盤が私の足元に浮かび上がり、針がゆっくりと回ります。

「さあ、どこに行きましょうか、今夜は」

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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