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さくら時計

さくら時計(2)せいくらべ 星野ひかり

2021年10月14日10時56分 コラムニスト : 星野ひかり
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さくら時計(1)プロローグ 星野ひかり+

私は今朝も、早く起き過ぎてしまいました。まだ世界には陰りがあり、太陽の光に照らされるまで、時間はたっぷりあるようです。鳥たちもまだ眠っているのでしょうが、静寂の中に虫たちの声が混じっているような気がします。誰と会う予定もない一日という膨大な時間が迫ってきては圧倒される、私は孤独な者であります。でも私には、イエス様あなたがおられます。

ベッドから起きて、彫刻の施された古いライティングディスクに腰を掛けて明かりを灯すと、聖書を取り出し開きます。一日に読める聖書はわずかなものです。しかしそれであっても、あなたの臨在が人の歴史と共にあり、人を守られてきたことを思うと、胸が熱くなるのです。

あなたは聖書の有名な登場人物と深く関わり、共に生きてくださいました。そしてこのような小さな私さえ類に漏れず、共に生きてくださっています。あなたはこのように名もなき者にさえ分け隔てのない方であることに、胸は熱く火照るのです。

イエス様、あなたを知らなかった私の幼子の時代も、あなたは私を知っておられました。幼子の目で見る世界は、光が陰り、また差すだけで心をとらえ、魅了しました。しかしそれであっても、あなたと切り離されている痛みはあまりに大きなものでした。

「天のお父様は恐ろしい方ね。こんなにつらい目にばかりあわせるのだもの」。そうすねている幼子の私に、イエス様は言うようです。「いつか分かるよ、そのすべてがお父様の愛であったことが」。「知りたいわ」。そう唇をかむ私を連れて、イエス様は記憶の旅にいざないます。さくら色の花びらで縁取られた、さくら色の時計がくるくると回ると、めくるめくうちに私は幼子の姿になってゆくのです。

*

学校に上がると、クラスは、おしゃれな子たちが集まるチームや、賢い子が集まるチーム、漫画が好きな子が集まるチーム…いろいろなチームが組まれました。私はどのチームにも入れなかった子たちと身を寄せ合って、とりあえず一緒に帰ったり、時々遊んだりしていたような気がします。というのも、この頃から私のからだの周りに膜が張ったように、目に見えるもの、感じられることにもやがかかっていったのです。

「あのおうちの子とは遊んじゃだめよ」。そんなささやきが聞こえていました。今では珍しくありませんが、その頃お父さんのいない母子家庭は、指をさされるほどに珍しく、怪しまれていたようでありました。「あそこのお母さんは夜に働いているらしいわよ」

私は授業中も、下校の道でも、友達と遊んでいるときにも、何も感じられなくなりました。そしてそれとは相対して、よく白昼夢を見ていました。教室の中にいるというのに、目の前に知らない町が開けて、迷路のような町をさまよいました。下校中に野良猫たちを見つけると、まるで自分が猫の一員になった気持ちで猫たちの行く所についてゆきました。するとそこは、満月の森の猫集会で、私は猫に交じって集会を楽しんだものでした。誰もいない家に帰ると、押し入れに入ってガーゼの毛布にくるまって、目をつむりました。するとまぶたの裏にいろいろな景色や人の姿が浮かんだものでした。私はまぶたの裏で繰り広げられる、すてきな夢を楽しみました。

きっと私は、人の世界がとても苦手で、そこから遠ざかるように白昼夢を生み出したのでありましょう。人の世界は、あの家は貧乏、またはお金持ち、また、誰ちゃんより誰ちゃんがおしゃれ、誰ちゃんよりも誰ちゃんが足が長い、…そんなせいくらべばかりしているようで、好きにはなれなかったのです。人の中にいるだけで「お前はぶざまで」「お父さんもなく貧乏で」「なんの取りえもなく」「価値がない」と言われているような気がしていました。

その頃は、よく雨が降っていたような気がいたします。団地の小さな窓に暗い雨粒が打ち付けているさまを、私はよく覚えています。それは、天のお父様の涙であった気がします。天のお父様は、一人一人を心から愛して形づくられました。いろいろな取りえ、さまざまなかわいらしさ、それぞれにユニークな特徴を、その手で愛でるように形づくり、お造りになってくださいました。それだというのに私ときたら、自分で自分をばかにして傷つけてばかりいたのですから。

今の私といえばどうでしょう。見事に丸々とした老年間近。それであっても、大好きなクッキーと紅茶の時間をやめようなどとは思いません。神様は、パンパンに肥えた私を抱き上げて、子豚のようにかわいいと頬ずりしてくださるのですから。教会の姉妹などに、若かった頃の私の色あせた写真を見せたことがあります。今では考えられないほどに肩も腕も細く、きゃしゃな私に驚いて「きれいだったのねえ」とため息をつかれることもあるのです。でも、若い頃の私は、自分をきれいだなんて思ったことがありませんでした。今のほうがよっぽどかわいらしいと思っているほどなのです。なにせ、りんごのように頬は赤く染まって、恥じらってしまうほどに、私は神様に愛されているのですから。

イエス様は、枯れ枝のように細くなった私の腕を見て悲しまれていたことでしょう。思春期を迎えた頃、私はりんごをかじることさえ、唾液を飲み込むことさえも怖がるほどに、痩せることに取りつかれていたのです。

‘何の取りえもない私なのだから、せめてきれいにならなければいけないのだ’ いつからか、そんな思いに取りつかれていたのです。そして、そんな私の思いを分からずに、食卓にご飯を並べる母をいまいましく思いました。「今のままで十分にかわいいわよ」。そう言う母を ‘この人は世の中の恐ろしさも知らない、のんきなやつだ’ と思いました。私の目つきは日ごとに悪くなり、母はそのまなざしを受けて、やつれていったように思います。

私は世の中をそれは恐れておりました。その代わりに欲しがったのは、人からの羨望(せんぼう)のまなざしでした。「人よりもきれいになれば、きっとゆるしてもらえるのだ」

誰のゆるしが必要であったのか、今では分かりませんが、その頃はなぜかそんなふうに思っていました。でもそんな思いだけで食欲が収まるほど、簡単なことではありませんでした。我慢すればするほどに、食べたい欲求は怪物のようにどう猛さを増して大きくなっていったのです。

小さな頃に、母は私を抱いて歌ったものです。「世界で一番かわいい子はどこにいる?」そう言って私の頬をくすぐりました。くすぐったいと身をよじりながら、その言葉を真に受けていた幸せな少女はもういなかったのです。

この世界の支配権は悪魔に渡されていることを、聖書にはちゃんと書いてあります。この世界がどんなに恐ろしい場所であるか、私も少女ながらに肌で感じていたのでしょう。そして身を守るすべとして思いついたのが ‘人よりもきれいになろう’ そんな悲しい計画であったのです。

神様は、この世界が恐ろしい所であるが故に、教会を建ててくださいました。神様を信じる神の民が、身を寄せ合って守り合い、支え合っていけるようにと。神様は、神の民たちを兄弟姉妹として固く結び、血よりも濃い霊のきずなを与えました。私も今、そのきずなにどれほど守られていることでしょう。倒れそうになったときも、神様と、神の家族が立ち上がらせてくれたものです。

イエス様は、どんな誘惑をも蹴散らして、私たちに天の情景を見せてくださるお方です。この世のことは、どんなことだって目につきますし、誘惑にも変わりましょう。しかしイエス様にしがみつくと、イエス様はいつも私を連れ立って、永遠の天の世界へいざなってくださいます。私たちの行き着く先、神様の住まわれる天の都での、神様の栄光の光に満ちた世界を思い出させてくださるのです。永遠に続く、神様と共に暮らす時に思いを馳せると、この世の思い煩いなど、何の力があるでしょう。(つづく)

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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