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み使いダニエル

(み使いダニエル・信仰者編)マサトのものがたり 星野ひかり

2021年8月19日10時04分 コラムニスト : 星野ひかり
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(み使いダニエル・信仰者編)リカのものがたり 星野ひかり+

厚く切ったバゲットに熱々のガーリックオイルを垂らして頬張ると、なぜかため息が漏れました。‘もうあとはないぞ’ 耳元で誰かがささやきます。

テーブルの上には、先日の婚約式で婚約者の母からもらった花が咲いていました。可憐なスイートピーやカスミソウが励ましてくれているようでした。

結婚式まであと7日。マサトはよく眠れない日が続いていました。

思えば40歳に近くなるこの年まで、自分の好きに生きてきました。稼いだお金も自分の好きなことにあてがって、余暇も気の向くまま風が吹くまま、身軽にどこへでも行きました。好きな時に好きなものを食べ、好きな時に好きなことをして、それは気楽にやってきたのです。

そんな自分が、間もなく結婚しようとしています。

相手は以前、心の病を患ったときに病院のデイケアで知り合った、自分よりもずっと重い心の病を持った女性でした。彼女は、仕事も失い、何も誇れるものがなくなった自分のことも受け入れてくれました。そして、神様を信じる心を与えてくれたかけがえのない人でした。その人を支えたい思いが、神様の御心にかなったように、マサトの病は良くなり、以前のようにとはいかなくとも、また働けるようにもなりました。この人を大切にしなさいと、神様は自分を信頼し、この人の人生を預けてくれた気がしました。その神様の思いを無視することは、できませんでした。

「神様は私を信頼し、この人の人生を支える役目を与えてくださった」そう信じて結婚を申し込みました。

しかし、結婚式が近づくほどに、マサトの心は重苦しくうめくようになりました。「一人の人の人生を預けられるなんて重責に、自分が耐えられるのだろうか」。そう思っては不安でした。そんな時に教会の兄弟から、こんなことを言われたのです。

「‘善きサマリア人婚’ はやめておけ。俺たちは善きサマリア人を一生やり続けられるほどに強くもないし、聖くもないんだ」。その言葉はマサトの心に重くのしかかりました。

その日の夜、マサトは寝苦しく何度も寝返りを打っては毛布を蹴飛ばし、夜中にそろそろと起き出しました。洗面台で勢いよく水を出すと、顔を打つように激しく洗いました。鏡の中で、やつれた灰色の自分が口を開きました。

「‘善きサマリア人婚’ はやめておけと言ったじゃないか」。マサトは疲れたように笑って、「そうだよな、できないよ」と言いました。

そして鏡にひたいをつけて、うなだれました。しかし、心はうめくように叫びました。「できなくて当たり前じゃないか。今まで満足にできたことなんて一つもないんだから。自分の醜さを見たって、いいじゃないか」と。

その時、テーブルの上の携帯が鈍く振動しました。マサトは携帯を取り、画面を開きました。そこには「真夜中にすみません、眠れないのです」と彼女からのメッセージが入っていました。

マサトはすかさず彼女に電話を掛けました。彼女は長いコールの後で電話に出ました。

「眠れないの?」マサトは聞きました。「うん」と答える彼女の声には陰りがありました。「不安なの?」そう聞くと、「そう」と彼女は言いました。

「何が不安か聞かせてくれる?」彼女は重い口を開くように言いました。

「結婚すると、大変でしょ? 家事もしきゃならないし、近所付き合いだってあるでしょう。朝だってちゃんと起きて見送りたいけど、そんなことすら自信ないもの。それに、今の暮らしのほうがよっぽど気楽で、たくさんの時間を祈りに専念していられるし、よっぽど神様といられるの」

マサトは聞きました。「じゃあ、どうして僕と結婚してくれようと思ったの?」彼女はうーんと頭をひねって、答えました。

「‘善きサマリア人’ よ。『あなたが助けた人が、あなたの隣人になるのだ』って牧師先生が言うじゃない。あなたを助けようとしても、あなたは男性で私は女性だから難しいわ。だからあなたの ‘隣人’ になるには結婚するのが一番だと思ったの」。マサトは驚きました。

「そんなに僕は頼りない?」彼女は笑って「そうね、そういう部分もあるわね」と言いました。マサトも笑って、「そうか」とうなずきました。

そんな彼女の言葉を聞いていると、天井が開けて、かなたの天の世界から、光が降ってくるようでした。その光は銀色に輝いてマサトを包み、優しく抱いてくれるようでした。

「そうだよな、僕は頼りないけどさ、それでもどうかよろしくな」。その言葉に、彼女にも天井が開けて、天界がふたを開け、天使たちがのぞき込んではマサトと彼女を見つめてほほ笑んでいるのが見えるようでありました。

「私たち祝福されるわ」。彼女は確信するように言いました。「きっと、そうだな」。マサトもうなずきました。

光の結晶で創られたような麗しいみ使いのダニエルは、彼女のもとに降りてきて、この世の目では見えないそれは美しく大きな花の種を彼女の胸に与えました。するとかぐわしい桃色の花は彼女の心でゆっくりと花開き、花びらの中で彼女を包むように大きく開いてくれました。

彼女は花びらに頬をつけました。透けるように薄い花びらは、柔らかくしっとりと湿り気を帯びて、彼女の頬に吸い付きました。

彼女もマサトも、自分の力で舟をこぎ、この荒れ狂う世の波をかき分けて生きてゆかなければならないと思いがちでありました。世の嵐は、時に舟を揺さぶって、荒いしぶきが舟の中にも押し寄せるほどに激しいものです。二人の足は当然すくんでしまいます。しかしその舟には、イエス様が共に乗っておられるのですから。

嵐をもしかりつけ、凪(なぎ)としてくださる万軍の主が、いつも共にいてくださっているのです。嵐の予感が忍び寄ろうとも、天地を支配するこの主を思えば、見えない光の粒が降りてきて嵐も凪とし、暗闇も真昼より明るく照らしてくださることでしょう。マサトと彼女は、その光に包まれるようでした。

マサトの部屋にも、彼女の部屋にも、彼女の母 ‘ミチコ’ が婚約式のために生けてくれた桃色のスイートピーが咲き誇っておりました。

「どうか幸せになるように」。ミチコの熱い祈りが、スイートピーの薄い花びらに満ちているようでした。地上にだって、二人のために祈ってくれている心強い応援隊がたくさんいることを思いました。

「できないことばかりでも、たくさん頼って、たくさん助けられていけばいい」。そうマサトに励まされて、彼女も「うん」と言いました。その声は花が咲くように明るいものでありました。

「一人なら打ち負かされても、二人なら立ち向かえる。三つ撚りの糸は簡単に切れない」(伝道4:12)

婚約式で、牧師先生がそう話してくださいました。この三人目はイエス様であることを。マサトも彼女も、一人で生きてきたその日々は、自分にさえ責任を持てばよいものでありました。自由な時間もたくさんあり、神様との交わりも聖書の学びも存分にできました。彼女が心配するように、結婚生活の中では神様との交わりや聖書の学び以外にもやらなければならないことが増えるでしょう。しかし、お互いを助け合い、支え合い、愛し合うという聖書のみ教えを存分に実践できるのです。うまくいかないことも多いでしょう。膝を蹴り合い、ののしり合うかも。そして自分の弱さを知り、罪に打ちひしがれるかもしれません。「結婚なんてしなければよかった」と、かんしゃく持ちの彼女は叫ぶかもしれません。しかし、三つ撚りの糸はそのたびに鍛えられ、強くされましょう。

一人が二人になることは、そして一体となって生きることは、アダムにイブをお与えになったように神様の御旨にかなっており、その祝福は大きいのですから。

「イエスは答えられた。『あなたがたは読んだことがないのですか。創造者ははじめの時から「男と女に彼らを創造され」ました。そして、「それゆえ、男は父と母を離れ、その妻と結ばれ、二人は一体となるのである」と言われました。ですから、彼らはもはや二人ではなく一体なのです。そういうわけで、神が結び合わせたものを人が引き離してはなりません』」(マタイ19:4~6)

マサトにとっても、彼女にとっても、結婚は神様の召しのようでありました。ですから二人はその召しに、抗うことはできなかったのです。闇の支配者の子どもとして、自分の思いのままに生きていた時期もありましたが、神様に召されて二人は神の民となりました。そして今再び、神様から新しい召しが与えられ、畏れを持ってその召しを受け取ったのです。

また、「一人でいるように」という召しもあるでしょう。その祝福も、大いなるものでありましょう。神様がお与えになる ‘召し’ は、それが何であれ、畏れを持って受け取るべき、尊きものであるのですから。

「私をお使いください」「私を遣わしてください」そう明け渡せる人は幸いです。どんなに頑張っても、満足に神様のために働けるほどに私たちは美しいものではありません。それでも、ぼろぼろの土くれの器であっても、神様にささげられる人は幸いです。

天も地も支配される神様は、慈しみ深い方であるが故に、それがどんなに見た目に良くない器であっても、喜んで受け取ってくださる方であるのですから。

マサトも彼女も、今夜はよく眠れることでしょう。神様の光に包まれて、よく休んだら、明日はまたせわしなく仕事や結婚式の準備です。お互いにお互いを、そして神様に自分たちをおささげする誓いの日は、天が開けて祝福の光が満ちるでしょう…。

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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