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み使いダニエル

(み使いダニエル・信仰者編)アキラのものがたり 星野ひかり

2021年4月15日19時36分 コラムニスト : 星野ひかり
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(み使いダニエル・信仰者編)リカのものがたり 星野ひかり+

アキラの勤めるケアホーム「ひかりの家」では、誕生日会の準備の真っ最中です。折り紙の輪っかを飾りつけ、ペーパーフラワーをリビングの壁にテープで止めて、安っぽくはありましたがお祝いの雰囲気を作っています。リーダーのアキラは声を張り上げます。「‘ミキ’ さん、もう少したくさん作ってください」

おばあちゃんたちと赤と白のペーパーフラワーを作っているのは、中年に差し掛かったミキと、勤め始めたばかりの年端もいかない女の子です。この女の子は、複雑な家庭で育ったのか、礼儀や作法といったものがまったく分からない様子で、仕事中でも花柄のコンパクトを取り出しては化粧を直すありさまでした。ミキはそんな女の子にあきれ顔をしながらも、よく教えておりました。

おばあちゃんたちも一生懸命折り紙を丸めるリビングには、賛美歌が流れておりました。この小さなホームに勤めるアキラとミキは同じ教会に通っており、2人の好みでよく賛美歌を流していたのです。そんな曲が流れると、女の子は「またキリストかよ」といじけた顔をして見せるのです。・・・女の子からは、神様への怒りが感じられました。‘神様がいるのならなぜ?’ 自分に与えられた試練に対して、そんな憤りを持っていることが見て取れるようでした。女の子は時折、あざや擦り傷を作って仕事場に現れ、ミキとアキラを心配させていたのです。

地面を引きずられ、砂利を嚙みました。おなかに鈍痛が響き、自分が蹴られたことに気付きます。血の味が、涙と鼻水と混ざって、喉の奥に流れていきます。手足を硬直させて、自分の体を包むように守りました。`いつか終わる’ まで、耐えればいいだけのこと。「大丈夫。いつか終わる・・・」

夜の静寂と冷たさが体を包み、女の子は立ち上がり、車の中に入りました。エンジンをかけて暖房をつけ、凍えた体を温めます。小さな黒目は震えていました。これからも続いてゆく茫漠(ぼうばく)な人生に恐れをなすように、震えていました。

アキラはまるで、それが見えるように祈っていました。「神様、あなたはどんな深い闇の淵にいたときも、僕を救ってくださいました。あなたに救えないものはないことを、僕は知っています」。両手を組んで祈りながら、いつか住む場所もなくうずくまっていた自分を救い出した、神の御業を思い起こしました。まるでみ使いの目が与えられたかのように、アキラの目は愛に潤い、見えないものまで見えるようでありました。

ダニエルは飛び立ち、この小さな町を見渡しました。とても小さな町なのに、孤独や恐れ、明日への不安に震える魂の多いことを見つめました。ダニエルは、胸が引き裂かれるように悲しみました。ダニエルの悲しみが、小さな雷を生むように、雲が押し寄せ光が走ります。暗い雨が街を覆いつくし、神様の憐れみのように降り注いでおりました。神様は人を愛し、本当の安息に一人一人を招き入れたいとその懐を広げて待っておられます。親鳥の胸のようにご自身の懐を温めて、一人一人を待ち続けておられました。だからこそ、人の苦しみが神様の、み使いたちの悲しみであり、怒りですらありました。その愛が真実であるが故に、神様は怒りをも持っておられたのです。

女の子は、雨粒の打ち付けるフロントガラスを見つめていました。「きれい」と心はつぶやきました。バチバチと打つ雨音が、次第に ‘誰か’ の声のように耳の奥に響きました。雨音は、鼓膜を打つように語り出しました。「神様はあなたを、一つ一つの臓器をも慈しんでつくられました。それなのに、なぜあなたはそのような悲しみのさだめを受け入れておられるのですか」。女の子はついに、頭がおかしくなったのかと耳を疑いました。汽笛のような耳鳴りが響きます。

女の子はおびえて車を飛び出し、あたりを見渡しました。空を見上げると、雨粒の一つ一つがまるでいのちの言葉のように降り注いでおり、彼女の体を打つようです。その中にたたずんで ‘この世界を支配する何か’ が語るのを聞きました。「囚人たちよ、安全な場所に来なさい。まだ希望がある。味わった苦悩の二倍の祝福を返すと今約束しよう」(ゼカリヤ9:12)

翌日、女の子が遅番でホームに入ると、アキラとご老人たちは、輪投げゲームの真っ最中でした。アキラは女の子の頬にできた新しい擦り傷を見つけました。「早くおいで。今、いい勝負の真っ最中なんだから」。そう言って女の子を招きました。

おばあちゃんもおじいちゃんも、はじけるような笑顔で輪を投げておりました。笑い声があふれ、アキラはまるで本当の兄のように女の子を慈しんでくれました。‘ここが本当の家なら’ 女の子はふとそう思いました。

「アキラ兄、ちょっと手が足りないわ。今日はちらし寿司だから」。台所からミキが声を上げます。「私、手伝う」。女の子はアキラに言って、台所に向かいました。

ミキの隣で手を洗いながら「アキラさんのこと、なんで兄とか言ってるの?」といぶかしんで聞きました。ミキはきゅうりを切りながら、「私たちは神様の家族だから、本当の兄弟であり姉妹なのよ」。そう言うのです。「教会って変なとこだね」。女の子は言いました。「イエス様を長男として、私たちは固い絆で結ばれているの。神様の霊によってね。そして守り合ってるのよ」。ミキは塩をとってきゅうりをもみました。

「こうすると、きゅうりに下味もつくし、しんなりするのよ」とまるで母親のように教えるのです。炙ったサーモンの薄切りをバラの形に巻くコツもミキに習い、サーモンのバラを作りながら、「私は、家では何にも教わらなかったから」そう恥ずかしそうに言いました。「大丈夫。何でも教えてあげるから。そして、きっと素敵なお嫁さんになれるわ」。自分でさえ信じたことのない未来を、ミキは信じてくれました。

女の子は、昨日幻で聞いた言葉を思い出しました。‘囚人たちよ、安全な場所に来なさい。まだ希望がある。味わった苦悩の二倍の祝福を返すと今約束しよう。’ そして思い巡らしました。自分は何の囚人なのだろう、そして安全な場所とはどこなのだろうと。その答えを、アキラやミキは知っているような気がしていました。

アキラはホームのリーダーとして、遅くまで記録をつけていました。ふと気配を感じると、隣に女の子が立っていたのです。「そのペン書きやすいの?」女の子はアキラの使っているありきたりのボールペンを見つめてそう言うのです。「そうだね、僕は気に入ってるよ」。そう言って女の子にペンを渡しました。女の子はそのペンを使ってメモ帳に絵を描きながら「ほんとだ。書きやすいじゃん」と言い、ふと手を止めて「囚人」と書きました。アキラはその字に目を留めて「囚人?」と聞きました。

「私は、囚人なの?」女の子は幼い瞳でまっすぐそう聞きました。アキラはペンを受け取ると、「そうだね」と言いました。「みんな囚人なんだよ。誰もがこの世の囚人であって、罪の囚人と聖書では言われているんだよ」。女の子は黙って自分の足元を見つめていました。アキラは「でもね、捕らわれの身から、すべての人を解放してくれる人がいるんだよ」と言いました。

女の子は、「どうせ、またキリストだろ」そう言って鼻で笑うと、背を向けてロッカールームのほうに歩いていきました。「そうだよ」。アキラはその背中に向かって、そう言いました。

女の子はホームを出て、車のエンジンをかけました。左右を見渡しアクセルを踏もうとしたときに、小さなこの町が、強固な鉄の檻でおおわれているのが見えたのです。慌ててブレーキを踏みました。どこもかしこも鉄の柵でおおわれており、どこへ行こうと逃れられないことを教えるのです。女の子の瞳は震え、泣き崩れました。青ざめて「どこにも行けない」とつぶやきました。

彼女の心は求めていました。この出口のない、迷路のような檻の世界からの救出を。そしてその唯一の出口は、もはや彼女の前に十分に差し出されていたのです。自分がどこにも行けないと、気付いた者は幸いです。私たちはこの肉体から離れる日が来ることを知っていようとも、どこへでも自分の力で行けると思う傲慢(ごうまん)な者たちなのですから。

行き止まり、行き詰まり、それは何と幸いなことでしょう。彼女はまだまだ自分の力でもがき続けることを選ぶかもしれません。しかし、もがけばもがくほどに、その道の先は閉ざされてゆくことでしょう。神様はそれほどに、彼女をご自身の胸元に抱き寄せようとしているのですから。

駐車場の入り口で立ち止まったままの軽自動車に気付いたアキラは、その窓ガラスに駆け寄りました。「大丈夫?」彼女は首を振りましたが、またエンジンをかけて車を急発進させました。

まるでみ使いの一人であるように、アキラは彼女に遣わされておりました。キリストの弟子である者は、全世界で神の御力によって遣わされており、今も働き続けながら鍛えられているのです。ダニエルもそれを見守り、そして必要な助けを与えていました。天の軍勢も、いつもアキラと共にあって、共に働いておりました。

暖かな日の太陽も、空を覆いつくす雲の流れも、激しく打ち付ける冷たい雨も、肌にまとわりつく優しい雨も、すべて神様の招きの御手であるように、キリストの弟子たちも霊を受けて生きています。木々が葉を茂らせ、花々が咲き誇り、その無限の色彩に神の存在を知らせます。この世界の囚われ人を、世界はうなるように招いています。

アキラは、今宵も祈ることでしょう。キリストという代価を払って、彼は神に買い戻された神の奴隷であり、神にあってこの世の鎖を解かれた自由人であるのですから。

そして彼も、囚人であった者であり、安全な場所に招かれた者であり、希望があり、味わった苦悩の2倍の祝福を受けた者であるのですから・・・。

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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