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ゴキブリキラーは天国へ行った

ゴキブリキラーは天国へ行った(2) 井原博子

2015年3月22日06時26分 コラムニスト : 井原博子
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関連タグ:井原博子

親戚中で一番品には欠けると、幼い私でさえ感じていた菊江おばさん。でも、小・中と成長するにつれ、私は彼女のことがだんだん好きになっていった。彼女はあけっぴろげで、子煩悩だった。彼女の人となりがよく表れたエピソードがある。これはもう70年以上も前のことなので、書いてしまおう。

昔、田んぼの中にはよく「野つぼ」があった。ご存知だろうか。の・つ・ぼ。昔は水洗トイレなどなかったので、農家では、トイレからヒトの排せつ物を汲み出し、野や田畑の中に穴を掘ってためておいて、肥料として使っていた。いざ田畑に撒かれると、あたり一面強烈に臭った。で、誰ともなくその悪臭を「田舎の香水」と呼んだりしたもので、などというのはどうでもいいことだが・・・。

菊江おばの長男が、まだ小学生の頃のこと。彼は虫取り網でトンボを追いかけ、畦道を走っていた。近くの畑では、農家の方が鍬で畑を耕していた。鋤を振り上げた時に少年が走っている姿が目に入ったのに、耕し、再び鍬を振り上げた時に、少年の姿はなかった。

「あっ」。農家の方が走っていくと、野つぼには虫取り網だけがつきささるように浮いていた。少年は野つぼに落ちて、底に沈んでいたのである。引き上げられた彼は、意識不明だった。

知らせが菊江おばに届いた時、おばは庭で行水中だったが、そのままたらいを飛び出し畑まで走った。さいわい彼は命を取り留めたが、素っ裸で町を駆けたおばのことはしばらくうわさになった。

従兄は背が高く、優しい青年に育った。私もよくつりに連れていってもらった。菊江おばは、「肥やしがきいて、よく育ったのだ」といつも言っていた。4人の子どもと働かない夫を、なりふり構わず気遣い守っていた菊江おばらしいエピソードだ。

私の実家の曾祖母が亡くなり、菊江おばなどの親戚が集まることも少なくなった。私やいとこたちも成長し、遊ぶこともなくなっていった。

そんなある日、菊江おばから電話がかかった。「博子、すぐ来てくれまいか(すぐに来て欲しいんだけど)」。訪ねてみると、おばは寝間着のまま布団の上に正座していて、脇ではおじが青くなっている。

私の顔を見ると、おばは挨拶もせずに話し出した。「博子、おばやんはの、ガンになったんじゃ。小さい頃教会学校行きよっての、またイエス様におすがりせんといかんのじゃ。博子、ちょいちょい来て、イエス様の話、してくれまいか」

菊江おばが幼い頃教会学校へ行っていたとは初耳だった。それまでの彼女からは想像もつかなかった。けれども、その時のおばなら納得できた。「死」を前にしてあれほど震え上がり、様子の変わった人を私は見たことがない。その日から、私は聖書を手に、定期的におばの家へ通った。

とはいっても、相手は私が生まれたときから見守ってくれていたおばで、私は駆け出し伝道者。まだ27歳の小娘。大胆に、堂々と語れるはずがない。私はおずおずと消極的でさえあった。

ただ、イエス・キリストを受け入れる準備はできているようだったので、まずイエス・キリストを心にお迎えする祈りを一緒にして学びに入った。

私には心強い助っ人があった。教会の祈祷会で菊江おばのことを祈祷課題として出すと、合田という姉が驚いて、「まあ、菊江さんは私の同級生です。これから訪ねられるときにはお電話ください。何もかも放り出して救いのためにお祈りします」。ありがたかった。

それ以後、菊江おば訪問の際には、まず合田姉にお電話する。そうすると彼女は、やはり祈りに熱心な2人の女性たちに電話して、3人がそれぞれのところで祈りに入る。おばの家からの帰りにも、私は合田姉に電話して逐一報告、祈りの課題をお伝えした。

菊江おばは、毎回静かに真剣に私の聖書の話を聴いていた。茶化したり、下品な冗談を言って私を困らせることは一度もなかった。不思議だったのは、おばの口から「どうしても治してほしい」とも、「どうして私はこんなに次々苦労するのか」などと一度も出なかったことだ。

彼女には重度の障害を持つ娘がいた。その娘をとても愛して大切にしていて、どこへ行くにも一緒に連れていたのだから。自分が先立つのは、それは心配だったはずだ。けれども、彼女は静かにひたすら聖書の御言葉に聞き入っていた。神様が与えられる平安とは、こういうものなのかもしれない。

「あなたがたは、心を騒がせないがよい。神を信じ、またわたしを信じなさい。わたしの父の家には住まいがたくさんある」(ヨハネによる福音書14章1節)

「わたしはあなたがたにわたしの平安を与えます。わたしがあなたがたに与えるのは、世が与えるのとは違います」(同27節)

それまでの菊江おばは、苦労の連続だった。働かない伴侶、重度の障害を持つ二女、おじと4人の子どもを食べさせていかなければならない借金ずくめの毎日。そうした日々の中、おばはすべてを冗談にして茶化して周囲を笑わせ、自分も笑って切り抜けてきたのではないかと気が付いた。

数カ月が過ぎた。おばが受洗する決心をしたのは、がんが再発し、再入院してからだった。12月中旬、すでに目は黄疸で色が変わっていた。「菊おばさん、洗礼を受けよや」と勧めると、おばはベッドの上でうなずいた。早急に主任牧師をお招きし、おじ立会いのもと、病床洗礼を授けていただいた。そのあと、意識混濁が始まり、3日後に天国へ旅立った。

今はイエス様のもと、生活の苦労からも病気の苦しみからも解き放たれて、幸せであろうと思う。おばのため、忠実に祈ってくださった3人の姉に感謝する。幼い頃の菊江おばに聖書の御言葉を語ってくださった教会学校の先生に心から感謝している。

その頃、私が属していた教会は会堂を失い、他の建物を日曜日だけ借りて礼拝を守り、先の見通しも立っていなかった。その私たちに、神様は伯母の受洗というクリスマスプレゼント、大きな喜びと励ましをくださった。み名をあがめます。

(1)(2)

◇

井原博子

井原博子(いはら・ひろこ)

1955年、愛媛県伊予三島(現四国中央市)生まれ。大学入試に大失敗し、これだけは嫌だと思っていた「地元で就職」の道をたどる羽目に。泣く泣く入社した会社の本棚にあった三浦綾子の『道ありき』を読み、強い力に引き寄せられるようにして近くのキリスト教会に導かれ、間もなく洗礼を受けた。「イエス様のために働きたい」という思いが4年がかりで育ち、東京基督教短期大学に入学。卒業後は信徒伝道者として働き、当時京都にあった宣教師訓練センターでの訓練と学びを経て、88年に結婚。二人の息子を授かる。現在は、四国中央市にある土居キリスト教会で協力牧師として働き、牧師、主婦、母親として奔走する日々を送る。趣味は書くこと。

関連タグ:井原博子
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