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イエス・キリストに魅了された人

イエス・キリストに魅了された人(5)娘の祈り 井原博子

2014年12月8日14時21分
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関連タグ:井原博子
井原博子氏+

さて、牧師館が建ったころ、娘の由子さんは中学生。そして高校卒業後、東京キリスト教短期大学(通称TCC。当時東京都国立市、現在は千葉県へ移転)に入学。伝道師になる訓練を受けた。

彼女に遅れること1年、私もTCCに入学した。女子寮の彼女の部屋を訪れると、机の前に妙な絵が貼られているのに気が付いた。

「これは何?」

尋ねる私に、由子さんは説明してくれた。

「これはね、私の故郷に大きな祈祷院が建つの。そして私に牧師である夫が与えられて子どもも生まれて、イエス様を信じる人たちで教会がいっぱいになるということなの」

彼女は、そのビジョンが実現するようにこうして絵に描き、イメージして、毎日祈っているのだという。入学して初めて知ったのだが、中川義雄さんと私の母教会の牧師は、旧友にして親友。しかし私自身は由子さんと初対面、会堂建設のことも初耳だったので、このマンガみたいな絵を前に真剣に祈っている彼女とビジョンにすごく興味をひかれた。

その年の夏休み、由子さんから『岩松教会夏季伝道集会』の手伝いを頼まれた。同じ愛媛県で教団も同じ、牧師の許可もスムースに出て、私は晴れてビジョンの現場めざして列車に乗り込んだ。

宇和島に着いた時はもう暗くなっていた。駅前の公衆電話から連絡すると、由子さんが出た電話をもぎ取り、中川義雄さんが代わった。

「ああ、白川さんな。喫茶店で座ってコーヒーでもなめよってや。一時間くらいしたら迎えに行くけん」

地方都市とはいえ、宇和島は当時人口7万の城下町。駅前に喫茶店はいくつもある。初めての土地ですれ違っては大変と、私は喫茶店で「コーヒーをなめる」のはやめ、駅前のベンチに座って待った。

中川さんと由子さんが来て、私たちは津島町へ向かった。今はトンネルが抜け高速道路も通じたが、当時はらせん状の山道を登りまた下りるという、一時間はかかる道のりだった。

岩松川に沿って走る道はもう真っ暗でネオンサインもほとんどなく、くろぐろとした山のシルエットの上に大きな星が光っている。ま、つまり、今私が住んでいるところほどの田舎だった。

どれほどの田舎だったか、こんなエピソードがある。

由子さんは上京してすぐジョアを食べた。ジョアはヨーグルトにフルーツを加えたもので、小柳ルミコのCMがテレビで流れていた。

「世の中にこれほどおいしいものが!」

病み付きになった由子さん、夏休みに帰省すると、近所の何でも屋のおばちゃんにたのんで取り寄せてもらうことにした。

数日後、待ちかねた由子さんが催促に行くと、「あ~、あれな~、どななもんか思うておばちゃんもひとつ食べてみよ思うたら、どろどろに腐っとった。全部捨てたで」と、おばちゃんは憤慨している。ジョアはもともと「どろどろ」なのだ。当時、本物のヨーグルトさえ田舎の人は見たことがなかった。何でも屋のおばちゃんには、ジョアは「腐った牛乳」としか映らなかったのだ。由子さんは、がっくりきた。

このエピソードは、二学期、由子さんの口から語られ、TCCのよっちゃん伝説のひとつとして、先輩から後輩へ語り継がれることとなったのである。

あまりの田舎ぶりに私が「ジョア事件」に納得している間に、車は左へ折れて岩松橋を渡り、商店街の中川衣料品店に着いた。

店の奥の台所では、一足先に到着したTCCの学生二人が食事を済ませていた。さっちゃん、かおちゃんと呼ばれていた由子さんのクラスメートで、彼女たちも伝道集会のお手伝いである。

「まあまあ、白川さん。よう来なさったな」

長いプリーツスカートをはいた女性が歓迎してくれ、優に3人前はある巨大なオムライスを作って出してくれた。少し前かがみで目がくぼみ、いつも笑顔だったこの女性は、中川カズ子さん、由子さんのお母さんにして、義雄さんののろける「世界一の妻!」である。

私たちはその夜牧師館に泊まった。牧師館は、店から車で5分くらいのところにあり、田んぼと蛙の声と星に囲まれ、私たちは眠った。

朝になると、緑濃い山がすぐそばまで迫りさわやかである。伝道集会の合間に、わくわくしながら由子さんに尋ねた。

「祈祷院はどこに建つの?」

「ここ」と指さされた場所は田んぼのど真ん中で、稲が風に揺れている。私はそこが既に教会の土地だとは知らなかったから絶句した。

■ イエス・キリストに魅了された人:(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)

◇

井原博子(いはら・ひろこ)

1955年、愛媛県伊予三島(現四国中央市)生まれ。大学入試に大失敗し、これだけは嫌だと思っていた「地元で就職」の道をたどる羽目に。泣く泣く入社した会社の本棚にあった三浦綾子の『道ありき』を読み、強い力に引き寄せられるようにして近くのキリスト教会に導かれ、間もなく洗礼を受けた。「イエス様のために働きたい」という思いが4年がかりで育ち、東京基督教短期大学に入学。卒業後は信徒伝道者として働き、当時京都にあった宣教師訓練センターでの訓練と学びを経て、88年に結婚。二人の息子を授かる。現在は、四国中央市にある土居キリスト教会で協力牧師として働き、牧師、主婦、母親として奔走する日々を送る。趣味は書くこと。

関連タグ:井原博子
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