イエス・キリストに魅了された人(3)中川衣料品店 井原博子

2014年11月10日06時54分 コラムニスト : 井原博子 印刷
関連タグ:井原博子
+井原博子

リヤカーでの行商が始まった。中川さんは、自分が人に良く騙されやすいので、どんな時も祈って神様の判断に従いながら衣料品を売って歩いた。また神様は隠れたことも見ておられることを知り、正直に商売していった。

例えば、客が買おうとしている服は、お金をもらう前に必ず厳しくチェックする。そして、ほつれや変色などがあったら、どんなに小さくても自分から客に知らせ値引きした。

「中川はんから買うたらええで」と評判を呼んで繁盛し、まもなく行商を畳んで、商店街の良い場所に店を構えるまでになった。中川衣料品店の誕生である。

店を構えても営業方針は変わらなかった。中川さんが正直に商売し、カズ子夫人が裾やサイズ直しを受け持つ。結婚前は洋裁を教えていたので仕上がりが美しく、客はますます増えていった。

夫婦が36歳の時、女の子が生まれた。由子と名付けた。

試みもあった。ある朝、中川さんが祈っていると、悪魔の高笑いのようなものが聞こえた。いぶかしく思っていると、その日「大型スーパーが岩松に進出してくる」というニュースが入った。小売店にとっては、脅威である。

数日後、いつものように祈る中川さんの心に、「今日、福音(良い知らせ)があります」という語りかけがあった。するとやはりその日、小売りの衣料品店連合から「わたしたちのグループに加入しませんか」との呼びかけがあった。中川さんは導かれるままに加入した。また、正直を見込まれて、地元の小・中・高の制服を取り扱う指定も受けた。

連合に加入し、正直な商売を続け、一年を通して制服や体操服の定収入が保証された。後に大型スーパーが進出してきても、売り上げは落ちないどころか上昇していたのである。

中川衣料品店の一日は、礼拝で始まる。中川夫妻の独特の、こぶしをきかせた節回しで賛美がリードされ、聖書を読み祈る。中川さんは「主は今生きておられる」と「権勢によらず能力によらず神の霊によりてこの山は移る」という賛美が好きだった。

シャッターを開けてからは、客が途切れることがない。品物も、店長副店長が大阪や東京へ出かけていき、実に大ざっぱに仕入れ、いいかげんに積み上げるのだが、気が付けば売れて減っていた。店内にはいつも神様のご臨在があった。

閉店後、中川夫妻はその日の売上を数え、神様に感謝し、十分の一を取り分ける。それは会堂建設のために積み立てられていった。行商一日目から、欠かさず、毎日続けられたことだった。

■ イエス・キリストに魅了された人:(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)

井原博子(いはら・ひろこ)

1955年、愛媛県伊予三島(現四国中央市)生まれ。大学入試に大失敗し、これだけは嫌だと思っていた「地元で就職」の道をたどる羽目に。泣く泣く入社した会社の本棚にあった三浦綾子の『道ありき』を読み、強い力に引き寄せられるようにして近くのキリスト教会に導かれ、間もなく洗礼を受けた。「イエス様のために働きたい」という思いが4年がかりで育ち、東京基督教短期大学に入学。卒業後は信徒伝道者として働き、当時京都にあった宣教師訓練センターでの訓練と学びを経て、88年に結婚。二人の息子を授かる。現在は、四国中央市にある土居キリスト教会で協力牧師として働き、牧師、主婦、母親として奔走する日々を送る。趣味は書くこと。

関連タグ:井原博子

関連記事

クリスチャントゥデイからのお願い

いつもご愛読いただき、ありがとうございます。皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。記事の一つ一つは、記者や翻訳者、さらに編集者の手などを経て配信されているものです。また、多くのコラムニストや寄稿者から原稿をいただくことで、毎日欠かすことなくニュースやコラムを発信できています。

この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、読者の皆様にはぜひ、祈りと共に、毎月定期的にサポートする「サポーター」として(1,000円/月〜)、また単発の「サポート」(3,000円〜)によって応援していただきたく、ご協力をお願い申し上げます。支払いはクレジット決済で可能です。申し込みいただいた方には、毎週のニュースやコラムをまとめた申込者限定の週刊メールマガジンを送らせていただきます。サポーターやサポートの詳細、またクレジットカードをお持ちでない方はこちらをご覧ください。


コラムの最新記事 コラムの記事一覧ページ

新型コロナウイルス特集ページ

人気記事ランキング

おすすめのコンテンツ【PR】

コラム

主要ニュース