現代世界と終末論(4)内村鑑三の再臨信仰 込堂一博

2018年3月2日19時40分 コラムニスト : 込堂一博 印刷
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しばらく前、NHKのEテレ「こころの時代」で「道をひらく―内村鑑三のことば」が計6回放映され、視聴したが、予想以上の大きな反響があったと聞いた。講師は、内村鑑三研究で著名な立教大学名誉教授の鈴木範久(すずき・のりひさ)氏であった。その6回目は「宇宙完成の祈り」がテーマ。内村鑑三は、木村清松牧師、中田重冶牧師らと共に再臨運動を展開し、大きな反響を呼んだ半面、多くの批判、悪評が浴びせられた。

現代世界と終末論(4)内村鑑三の再臨信仰 込堂一博
若き日の内村鑑三

内村鑑三は当初、キリストの再臨については半信半疑で、米国の再臨思想に対して一笑に付していたという。その内村鑑三が、再臨信仰に目覚め、再臨運動を始めたきっかけは4つあったと、鈴木範久氏は指摘している。

  1. 内村の最愛の娘の死であり、その臨終を通じて「霊魂不滅」を単なる教義ではなく、明らかに示された事実と見た経験であった。
  2. 1914年に始まった世界大戦、これはキリスト教国間の戦争であるゆえ、ついに米国も参戦した。これで内村は、米国への期待を完全に消滅させてしまった。
  3. 米国の友人ベルから送られてきたキリスト教新聞に掲載されていた再臨思想の記事「われらの主の再来は、今日、実際的な問題となるか」にとらえられた。
  4. 実際に再臨運動を展開し、全国巡回して講演活動した。

「聖書之研究」に掲載された内村の論文「基督再臨を信ずるより来りし余の思想上の変化」によると、内村の生涯に3度の大変化があった。

  1. 1878(明治11)年、多神教より一神教への転換で天地万物の創造主なる神を信じたこと。
  2. 1886(明治19)年、アマースト大学においてキリストの十字架による罪の贖(あがな)いを信じたこと。
  3. 1918(大正7)年、キリスト再臨への確信を得て生涯の大革命が臨んだこと。

さらに内村は、再臨信仰について次のように述べている。

「基督再臨とは万物の復興である。また聖徒の復活・・・、神政の実現である。人類の希望を総括したもの、それがキリストの再臨である。これを理解してすべてがわかる。再臨を信じて聖書がわかり、聖書がわかって神を解し、人生を解し、自己を解した。神は死の苦痛を除き、自分と自然とを永久に結び、贖われた身体をもって完成された天地に不朽の生命を受けるの希望を賜うた」(関根正雄編著『内村鑑三』清水書院刊より)

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札幌の羊ケ丘展望台に置かれている、内村鑑三に大きな影響を与えたクラーク博士の像

内村鑑三の名著『一日一生』(教文館)には次のように記されている。

「キリストの再臨は世の終局の出来事である。そして万事万物は、すべてことごとくこの喜ぶべき最終の出来事に向かって進みつつあるのである。私たちが日々キリストの再顕を待ち望むのは、それが時々刻々と私たちに迫りつつあることを知っているからである。私たちはすでにキリストのものとなって、全世界の出来事はこぞって私たちを希望の域に向けて進みつつあるのである」(289ページ)

この内村らの再臨運動は、キリスト教界に大きなインパクトを与えたが、内外からさまざまな批判が沸き起こった。特にキリスト教界内部からの激しい批判は、内村の想定外だったかもしれない。批判論文に「聖書にあるからとて、漫然基督の再来説くは迷妄といはざれば、痴人の夢である」とか「再臨は時代的制約による思想だ」等々とある。

このような再臨批判者に対して内村は、1918年8月発行の「聖書乃研究」において「基督再臨問題は、聖書問題である。聖書の神的権威を認めて再臨を否むことは出来ない。・・・余は再臨問題を以ってする前に聖書問題を以って是等の教会と争ふ必要を認めざるを得ない」と記している。

確かに聖書を誤りなき神の言葉と信じなければ、「再臨」の信仰は、まさに信じがたい「たわごと」であり「空想話」にすぎないであろう。内村は、それらの批判を甘受しつつも、人間の批判、攻撃、思惑のすべてを超えたキリストの再臨という宇宙完成の祈りに晩年生き、1930年3月28日に地上の生涯を終えた。

今年2018年は、内村が召されて88年である。内村の目に現代の日本、世界は、どのように映っているのだろうか。

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込堂一博

込堂一博(こみどう・かずひろ)

北海道室蘭市生まれ。聖書神学舎卒業。現在、屯田キリスト教会協力牧師、三浦綾子読書会相談役。著書に『人生の先にある確かな希望(天のふるさと)』(イーグレープ)、『三浦綾子100の遺言』(フォレストブックス)、『終わりの時代の真の希望とは~キリストの再臨に備えて生きる!』(個人出版)他。

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