日本二十六聖人を音楽でつづる 天田繋作曲「長崎殉教オラトリオ」

2018年2月5日16時19分 記者 : 坂本直子 印刷
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長崎市の日本二十六聖人殉教地(西坂公園)にある記念碑「昇天のいのり」(写真:Alex Tora)
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1597年2月5日、豊臣秀吉の命令によって京都や大阪から連行された日本人20人と外国人宣教師6人が、長崎・西坂の丘で処刑された。イエス・キリストのために命をささげた26人は、後にカトリック教会から聖人と認められ、「日本二十六聖人」と呼ばれている。この殉教の出来事を、今から50年以上前に、ある日本の作曲家が音楽として残している。教会音楽の第一人者として知られる天田繋(てんだ・つなぐ)氏(1937~2012)による「長崎殉教オラトリオ」がその曲だ。

滋賀県大津市で生まれた天田氏は、東京芸術大学作曲科を卒業した後、国立音楽大学大学院で修士号を取得。東京基督教大学(TCU)特任教授、東京基督神学校(後にTCUに統合)音楽科主任などとして教鞭を執り、作曲はもとより指揮者としても活躍し、聖歌隊の指導にも熱心に取り組んだ。また、ヘンデル作曲のオラトリオ「メサイア」の日本語版編さんにも携わり、日本でメサイアが広く愛され、歌われるようになった背景には天田氏の存在がある。「キリストの愛 我に迫れり」(山口昇作詞、新聖歌227番)や、「クリスマス・カンタータ『その名はインマヌエル』」(佐藤一枝作詞)などは天田氏の代表作だ。

「長崎殉教オラトリオ」は、天田氏が東京芸術大学の卒業作品として手掛けた作品だ。大学3年の時に、当時治療に通っていた耳鼻科の主治医が、長崎出身の詩人・長崎透氏であったことをきっかけに、この長大なオラトリオを作詞してもらうことになった。送られてきた作品を一つずつ受け取って読んでいくうちに、徐々に気持ちが高まり、第7章の「トマス少年の別れのことば」を読んだときに心が震え、生まれて初めて「この感動を作曲しよう」と心に決めたという。

初演は卒業後の1966年で、殉教400年記念の97年に再演。さらに2002年には沖縄で3度目の公演を行っている。10章から成り、所要時間は45分と短い曲だが、そこには26人が捕らえられるところから、厳冬期に約1カ月かけ長崎までの200里を歩かされる死の行列、そして西坂の丘での処刑まで、壮絶なドラマが描かれている。26人の中には、12歳のルドビコ茨木、13歳の長崎のアントニオ、14歳のトマス小崎といった少年たちもいた。最年少であったルドビコ茨木は、役人が持つ名簿には名前がなかったが、自ら捕らえられるよう申し出て、刑場で「自分の十字架はどこ」と尋ねた話は今も語り継がれている。

天田氏に作曲を決意させた第7章は、3人の少年の1人で、司祭になる夢を持っていたトマス小崎が、最愛の母へ宛てた手紙だ。「激しく心揺さぶられて泣いた」と言う天田氏は、このオラトリオを1人の音楽家として、また信仰者として、そして日本人として作曲したと話している。

処刑の場となった長崎港を臨む小高い丘は、今は公園として整備され、この3人の少年を含む26人を描いた記念碑「昇天のいのり」が建てられている。列聖100年を記念してカトリック信徒の彫刻家、船越保武氏(1912~2002)が1962年に制作したものだ。高さ5・6メートル、幅17メートルにも及ぶ記念碑に彫られた等身大の殉教者たちの姿は見る者を圧倒する。

26人の殉教からちょうど421年がたった今日、「死に至るまで忠実」(黙示録2:10)であったキリストの証人たちの姿に、同じ日本のキリスト者として思いをはせたい。

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