英語お宝情報(19)ハイタッチはハイテクの反意語 木下和好

2017年12月31日19時57分 コラムニスト : 木下和好 印刷
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英語お宝情報(1):スピーキング脳とリスニング脳

By Dr. K. Kinoshita(木下和好)
YouCanSpeak 開発者・同時通訳者
元NHK TV・ラジオ 英語教授

<ハイタッチの2つのイメージ>

「ハイタッチ」という言葉を聞くと、2つの異なるイメージが思い浮ぶ。1つは米国人が「ハイターチ」と発音するときのイメージだ。それは日本企業の「日立」のことである。日立製品は米国にも普及しているので、「日立」という社名を知らない人はほとんどいない。でも “Hitachi” という社名のもともとの発音を教えられていない人は、無意識的に英語の発音ルールの影響を受けてほぼ例外なく「ハイターチ」と発音してしまう。ついでながら米国では「トヨタ “Toyota”」は「タヨウタ」に、そして「ホンダ “Honda”」は「ハンダ」と発音される。

「ハイタッチ」のもう1つのイメージは、スポーツなどで何かうまくいったときに、チームメートや相棒同士が手のひらを開いた状態で高く上げ、互いにタッチをする光景だ。互いに手のひらを高く(high)上げて触れる(touch)ので、「ハイタッチ」はまさにそのような行為を指す英語の表現だと誰しもが確信し、疑いの余地が無いようだ。

英語お宝情報(19)ハイタッチはハイテクの反意語 木下和好

でも、ハイタッチをするのは日本人だけだと言ったらウソに聞こえるだろうか。実際テレビでスポーツニュースなどを見ていると、どこの国の人たちも皆同じようにハイタッチする光景が映し出される。では、世界の中で日本人だけがハイタッチをするとはどういう意味だろうか。

<ハイタッチは high touch ではない>

実は、英語の “high touch” は日本で使われている「ハイタッチ」とは意味が全然違う。「ハイタッチ」は “high touch” をカタカナ表記にしたものであるが、“high touch” の本来の意味からあまりにもかけ離れてしまっている。おそらく日本人の誰かが、2人の人が手を高く(high)上げ、互いの手をたたきつけるように触れる(touch)光景を見て、「ハイタッチ」という日本独自の表現を作り出したのだろう。

<和製英語のタイプ>

和製英語には次のような6つのタイプがある。

1. 英語としてまったく使い道がない
2. 日本語と英語の合成語
3. 発音が本来の英語からかけ離れている
4. 本来の英語の意味からずれているか、まったく異なる意味を持つ
5. 品詞(動名詞とか過去分詞 etc)の使われ方が本来の英語とは異なる
6. 元の英語と同じ意味であると勘違いされている和製英語

和製英語である「ハイタッチ」は、タイプ4になる。

<high tech のマイナス要因>

実は “high touch” は “high tech” の反意語として使われ始めた表現で、日本で言う「ハイタッチ」とは意味がまったく異なる。“high tech” は正式には “high technology” で、コンピューターのような電子機器を使って機械などを自動操作する高度な技術を意味する。このオートメーション技術により、人の手作業による労働が大幅に削減されるようになった。

でも “high tech” は人の労働を排除するため、人の存在価値が見失われてしまう危険性をはらんでいる。

英語お宝情報(19)ハイタッチはハイテクの反意語 木下和好

<high tech と high touch のバランス>

“high tech”は便利な半面、人間不在という大きな社会問題を抱えているので、自動化社会の中で人間性を取り戻す発想が生まれてきた。それが “high touch” である。“tech(技術)” に対して “touch(触れる)” が使われるのは、「人が直接何かに触れる」という考えからだ。“high tech” が “digital” であるのに対し、“high touch” は “analogue” ということになる。

このように “high touch” はあくまでも “high tech” の反意語なので、「ハイタッチ」を高く上げた手のひらを互いに触れるという意味で使うことはできない。

英語お宝情報(19)ハイタッチはハイテクの反意語 木下和好

<ハイタッチは英語で何と言う?>

「ハイタッチ」するとき、手を握ったままでする人はほとんどいない。大抵の場合、手を開いた状態、すなわちジャンケンの「パー」の形を保った状態で互いに触れ合う。手のひらが「パー」の形の場合、5本の指(five fingers)はすべて見える状態になっている。それで、英語では手を開いたときに見える5本の指を意識し、“five” という単語を使う。そして手を高く(high)上げて、互いの “five” を触れ合うので、その行為を “high five” と言う。

海外のスポーツ実況を英語で聞いてみる機会があれば、スポーツキャスターが “high five” という言葉でハイタッチを表現していることが分かるであろう。

「ハイタッチをしてくれ」と言いたい場合は、“Give me five!” となる。

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この “high five” という英語の表現の歴史はかなり浅く、約40年前から使われ始めたようだ。

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木下和好

木下和好(きのした・かずよし)

1946年、静岡県生まれ。文学博士。東京基督教大学、ゴードン・コーウェル、カリフォルニア大学院に学ぶ。英会話学校、英語圏留学センター経営。逐次・同時両方向通訳者、同時通訳セミナー講師。NHKラジオ・TV「Dr. Kinoshitaのおもしろ英語塾」教授。民放ラジオ番組「Dr. Kinoshitaの英語おもしろ豆辞典」担当。民放各局のTV番組にゲスト出演し、「Dr. Kinoshitaの究極英語習得法」を担当する。1991年1月「米国大統領朝食会」に招待される。雑誌等に英語関連記事を連載、著書20冊余り。

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