横田早紀江さんとめぐみさんの本を夢見て 鴻海誠さんロングインタビュー(2)

2018年1月2日06時57分 記者 : 雜賀信行 印刷
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鴻海誠さん=12月18日、いのちのことば社(東京都中野区)で
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昨日に続き、鴻海誠さんに話を聞いた。「百万人の福音」や「フォレスト・ブックス」の編集長を務め、三浦綾子・星野富弘『銀色のあしあと』やマックス・ルケード『たいせつなきみ』など多くのベストセラーを手掛けてきた編集者である鴻海さんが、現在祈りに覚えている企画がある。それは横田早紀江さんと娘のめぐみさんの対談だ。

横田早紀江さんとの出会い

早紀江さんはもともと言葉を語る力のある方で、真剣に訴えたいことを伝え、人を共感させることのできる言葉を瞬間的に出せ、一番的を射たことを言える人。だから、マスコミが彼女のところに集まるんです。「めぐみさんのお母さん」という象徴的なイメージもはっきりしているし、節度もあって、謙虚さの中にも毅然としたものがある。「ある使命を負って主に立てられた人だな」ということは、20年ぐらいお付き合いしてきて、実感としてありますね。

ただ、横田さんと仲間による『ブルーリボンの祈り』(2003年)を実現するのは簡単ではありませんでした。私が初めて早紀江さんにお会いしたのが1997年で、それから6年掛かりました。1997年というのは、めぐみさんが北朝鮮に拉致されていることが分かり、横田さん夫妻が被害者の親であることを明らかにして活動を始めた年です。

2つのきっかけがありました。その頃、私は「百万人の福音」の編集長を降り、出版部の部長として単行本の執筆者を捜していました。ちょうどそんな時、雑誌に載った滋さんの手記を読んだのです。それから、いのちのことば社の元上司の奥さんが、当時、世田谷にあったTEAMセンター(宣教師の団体 The Evangelical Alliance Mission。早紀江さんは、そこに属するマクダニエル宣教師に導かれた)で掃除のパートを早紀江さんと一緒にしていた時代があって、「この人のことを早く知っておいたほうがいいわよ」と声を掛けてくださったんですね。

横田早紀江さんとめぐみさんの本を夢見て 鴻海誠さんロングインタビュー(2)
横田早紀江さん(写真:小林恵氏撮影)

その後、早紀江さんと新潟時代から祈り合ってきたという斉藤眞紀子さんをご紹介いただいて、「斉藤さんに連絡すれば早紀江さんと会えるはずだ」と言われて、すぐに連絡したんです。そうしたら、世田谷の松蔭神社の近くに斉藤さんの住まいがあり、そこで「聖書を読む会」を月1回やっているということで、そこに出席するようになったんです。

名もなき主婦の祈りが国民を動かした歴史的出来事

私はできれば1、2年以内に本を出させてほしいと願ったのですが、すでに草思社が動いていて、1999年に『めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる』が出ました。

早紀江さんは書ける方なんですが、やはり書くことに集中すると精神的に苦しいようでした。そこでロングインタビューを試みたり、いろいろやったんですが、早紀江さんもだんだん講演活動などで忙しくなり、時間を取って本作りをするというのはできなくなったんです。

横田早紀江さんとめぐみさんの本を夢見て 鴻海誠さんロングインタビュー(2)
昨年11月6日のトランプ米大統領との面会にも持参した山口県萩市での家族写真。早紀江さんと小学生のめぐみさん、弟2人が笑顔で歩く。(写真:横田滋さん提供)

2000年、救出活動を支援していくために「横田早紀江姉を囲む祈り会」を立ち上げたいと、斉藤眞紀子さんたちから相談されて、いのちのことば社のチャペルを毎月提供して祈祷会を開くようになりました。02年と04年の小泉純一郎首相の訪朝で注目が集まった時には、チャペルに入りきれないほどの人が来たこともありますが、その時々で集まる人数はかなり波がありました。

『ブルーリボンの祈り』が実現に動き出したのは、「新潟時代からずっと祈り合ってきた4人の共著というのはどうか」という話を何かの拍子にしたことからです。めぐみさんの親友の母親である眞保節子さんは、早紀江さんと一緒に聖書を学び始めた人、斉藤眞紀子さんは牧師の家庭に育ち、霊的指導力のある人、牧野三恵さんは明るく元気なムードメーカー、それぞれ三者三様でハーモニーがいいんですよ。それぞれ転勤族で、ある一時期に新潟に集められ、再び17年後に東京に集められたんです。

「名もなき主婦のクリスチャンたちの祈りの運動が長期間、日本の国を動かすようなことに絡んできた。これは日本のキリスト教史に残ることだな」と、途中から思うようになりました。このことに関われたことは、私の編集者としての長い歩みの中でも誇りです。

その後、「祈り会」で早紀江さんが語った言葉をまとめた『愛は、あきらめない』(2014年)も出しましたが、私の中ではまだ前哨(ぜんしょう)戦です。

めぐみさんと早紀江さんの夢の対談

あれは、めぐみがいなくなる二ヵ月ほど前のことでした。居間で用事をしていた私のところにいつものように近寄って来て、言いました。
「ねえ、ママ、キリストって信じられる?」
「なんでそんなこと聞くの?」
「ううん、べつに・・・私は、なんか信じられる気がするよ」
どこからそんな話を聞いてきたのかわかりませんでしたが、その時は、「聖書は有名な本だから、うちにも一冊置いてあってもいいわね」と、それだけの会話で終わったのです。あとから考えれば、あれはこういうことが起きる伏線として神さまが示してくださっていたのかなと、不思議な感じがしました。その二ヵ月後にめぐみの事件が起きて、ほどなく私は聖書に初めて出会ったのですから・・・。
そして、あり得ないことかもしれませんが、どんな形であれ、どこかでめぐみもキリストの救いにあずかっていてくれたらどんなにいいかと、ずっと思ってきました。(『ブルーリボンの祈り』152~153ページ)

めぐみさんが帰ってきた時に、めぐみさんと早紀江さんの2人でキリスト教をめぐる1冊の本を出すことができればと思っています。スタイルとしては対談。「めぐみちゃんがいなくなってから、お母さんはキリストを信じる者になったのよ。そして、みんなで祈っていたのよ。いつか一緒に聖書を読むことをお約束したわよね」ということを伝えたいという思いが早紀江さんには強いんですね。

そういう人を時代時代に用いられる神さまじゃないですか。ご自身の栄光のために。「めぐみは大きな使命を持っている」と早紀江さんも言っていますが、これは母親として「娘を帰してほしい」という叫びより、もっと深い言葉です。「この時代に神さまが何かなさろうとして、この子に託している。それが成就するのに一番いい時を定めてくださっているのだ」と、早紀江さんもだんだんそういう目でこの事件を見るようになっていかれました。

そういう話は誰でも聞きたいですよね。この20年の間に早紀江さんとの間の信頼感というのはできました。大声で説得しなくても、「こういう本を実現したいんですけど」という意思を伝えれば、早紀江さんは「やりましょう」と言ってくださると思います。

祈り会の皆さんは、めぐみさんが帰ってきたら、ぜひここの「祈り会」に迎えたいと言っています。そこで最後の報告をして、めぐみさんの歓迎とともに「祈り会」の解団式をすると言っているので、これまでの物語をめぐみさんに聞いてもらう。これは「奇跡」と言われるかもしれないけれど、神さまがなされたわざとして、このことをこの時代にちゃんと足跡(そくせき)として残しておくことという意味でも、本にまとめておく意義があります。

そして、めぐみさんが戻ってきたら、早紀江さんの言葉の力って大きいと思うんですけど、「北朝鮮憎し」ではなくて「北朝鮮が平和の国となって日本と付き合える日を望む」ということを、まず最初に早紀江さんは言われると思います。北朝鮮に対する制裁ではなくて、そういう流れを作る。そういうことは被害者だからこそ言える言葉ではないでしょうか。早紀江さんがそう語れば、皆が聞こうという気持ちになれる。そういう役割を2人は担っていくように思います。そういう本がきっとできると私は信じています。これまでも、人の心を揺さぶるような本が時代時代に生まれてきたわけですから。

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