大物ゴスペル歌手のデュエットに大歓声、アポロシアターでクリスマス・コンサート

2017年12月24日17時27分 執筆者 : 打木希瑶子 印刷
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+大物ゴスペル歌手のデュエットに大歓声、アポロシアターでクリスマス・コンサート
ヨランダ・アダムス(左)とドニー・マクラーキン=16日、米ニューヨークのアポロシアターで
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米ニューヨーク・マンハッタン北部のハーレムにあるアポロシアターで16日、ゴスペル界のトップスターであるドニー・マクラーキンとヨランダ・アダムスによるクリスマス・コンサートが行われました。

アポロシアターは1913年に建てられ、黒人エンターテイメント界では最も有名な劇場として、100年以上たった現在も多くのショーが行われています。特に「アマチュアナイト」という素人がチャレンジできるタレントショーは有名で、年に2回行われるオーディションには世界中からたくさんのタレントが集まります。午前10時から始まるオーディションに朝4時ごろから参加者が列を作り始める、エンターテイナーの登竜門として大変な人気があります。

ハーレムには400以上の教会があるといわれており、その多くは黒人教会です。日曜日の礼拝ではゴスペル音楽を聴くことができるため、毎週日曜日にはたくさんの観光客がハーレムを訪れます。「教会に行けば無料で聴けるゴスペル音楽を、35ドル~85ドル(4千円~9600円)というチケット代を払って、聴きに来る人がいるのだろうか?」 本業がゴスペル音楽のプロデューサーという立場上、私はどうしても、そういうことが気になってしまいます。しかし、当日は私の心配をよそに、1500席あるアポロシアターは満席。当日朝に残っていたという150枚ほどのチケットも開演前には売り切れ、会場はゴスペル音楽ファンで埋め尽くされました。

ドニーとヨランダといえば、思い出されるのは2003年にリリースされた「The Prayer」という楽曲でのデュエット。2人があまりにも有名なアーティストになってしまったため、それ以降、2人がデュエットでこの曲を歌うことは難しくなりました。しかし、今夜はもしかしたら・・・。

私の期待はまったく裏切られませんでした。クリスマス・ソングばかりが歌われるのかと思っていたのですが、牧師でもあるドニーは軽く冒頭でクリスマス・ソングをメドレーで歌い、こう言いました。

「クリスマス・ソングはこんな感じでまとめて、さっさとやってしまったほうが良いだろうと思ってね(笑) クリスマスはお祭りでもないし、買い物に夢中になるためのものでもない。神様が救い主を誕生させてくれた日なんだ! それをたくさんの人たちと喜び、神様の愛を多くの人たちと分かち合う日なんだ!」

そして、ドニーとヨランダのこの貴重なデュエットが聴けると分かると、舞台前の座席からは「キャー!」という悲鳴に近い歓声が。ドニーが冗談で「警備員の方、ちょっとお願いします!」と応じる楽しいジョークもありました。

ヨランダは、自身のヒット曲「Open My Heart」の誕生秘話を話しました。

「この曲を書いたとき、私は大きな岐路に立たされていました。プロのゴスペル・アーティストとして活動を始めることができるのは、本当に素晴らしいお話だったのですが、それと同時に大きな責任も感じていたからです。個人のアーティスト活動ではなく、これからはヨランダ・アダムスというアーティストに関わるスタッフたちの生活も私にかかってくる。失敗は許されない。本当にそんな力が私にあるのだろうか、と。怖くて曲が書けなくなっていたとき、神様は『自分の心を開きなさい。素直になりなさい』とメッセージをくださいました。そうして書き上げた曲がこの曲でした」

この話の途中、観客の1人が「歌って!」と声を上げると、会場からも同じ声が次々と上がりました。この「歌って!」コールは、ヨランダの「静かに」という声も遮り、やむことがありませんでした。もともと歌う予定ではなかった曲だったため、バックバンドのミュージシャンたちに確認を取りOKが出ると、ヨランダが歌い始めました。アドリブで演奏できるミュージシャンたちのレベルの高さと、ハーレムのお客さんたちの熱意に圧倒される一幕でした。

2人以外にも、ニューヨークで最も有名なゴスペルクワイアの1つである「The Great Allen Cathedral Choir」、ニューヨークのR&Bシンガー、ネインディーン・P・シモンズ、シカゴで活躍するダンテ・ホールも出演。予定では休憩を挟むことになっていたようですが、コンサートは休憩を取る間もなくノンストップで行われました。米国のゴスペル音楽市場は下降線をたどっているといわれていますが、ハーレムの熱い、熱いゴスペルの夜は、それをまったく感じさせませんでした。

文・打木希瑶子(ゴスペル音楽プロデューサー)

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