ナイジェリアで殉教した宣教師の最期 「アメイジング・グレイス」を歌った後に

2017年12月5日19時50分 翻訳者 : 山本正浩 印刷
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イアン・スクエアさん(写真:スクエアさんのリンクトインより)
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ナイジェリアで英国人宣教師4人が拉致され、3人が解放、1人が殺害された事件で、英国に帰国した3人のうち夫婦である2人が英デイリー・テレグラフ紙(英語)の取材に応じ、殉教したイアン・スクエアさん(57)の最期について語った。夫妻によると、スクエアさんは人質となった他の宣教師を励まそうと、「アメイジング・グレイス」をギターで演奏したが、その直後に銃殺されたという。

スクエアさんら4人は10月13日、ナイジェリア南部デルタ州の農村部で医療品を無償配布していたところを、武装した複数の男たちに拉致された。救出されたのは、デービッド・ドノバンさんと妻のシャーリーさん、アランナ・カーソンさんの3人。「イアンは信仰とユーモアと音楽と発明の人でした」と、デービッドさんは同紙に語った。

3人は銃を向けられながら連行され、解放されるまでの約3週間、沼地にある竹製の小屋で拘束されていた。医療宣教師として活動していたことを訴えたが、拉致した男らは取り合わなかったという。3人によると、実行犯らは「エグベス・ボーイズ」と呼ばれるカルト集団に所属していたという。エグベスは、デルタ州のイジャー族に伝わる古代の戦いの神の名に由来している。

竹製の小屋に入れられた後、スクエアさんのアコースティックギターを含め、所持品の一部が返却された。そしてスクエアさんは、楽譜なしで演奏できる唯一の曲だった「アメイジング・グレイス」を弾き語りし、とらわれの身となった他の宣教師たちを精神的に励まそうとした。

「彼の歌は完璧でした。またその時点では、状況はそれほど悪くはないように思えました」とデービッドさん。スクエアさんの歌により、他の3人は福音を伝える召しに忠実であろうとする決意を思い起こすことができたという。

「しかし、演奏を終えたイアンが立ち上がると、銃が連射され、イアンは一瞬のうちに殺されました。誰が銃を撃ったのかは見えませんでしたが、拉致集団の中の誰かが彼を撃ったことは明らかです」

「私たちは、次は自分たちのところに彼らが来ると思ったので、小屋から飛び出して水の中に飛び込みました。しかし、拉致集団のメンバーが来て、私たちを連れ戻し、イアンと一緒に小屋に入れました」

拉致犯がスクエアさんを殺した理由は、不明のままだ。デービッドさんは、男たちが麻薬やアルコール中毒のために妄想や恐れに駆られ、音楽の影響で無意識のうちに銃撃したのかもしれないと推測している。

デービッドさんとシャーリーさんはインタビューの中で、快適な生活から離れ、宣教師になった理由についても語った。かつて、デービッドさんは医師、シャーリーさんは教師として働いていた。

「私たちは良い仕事に恵まれ、2人の息子たちは私立の学校に行っていました。ケンブリッジには大きな家があって、望むものはすべて手にできました。しかし私たちは、自分たちがその生活に満足していないこと、また福音に真実であるためには、人生を変えなければならないことに気付いたのです」

夫妻は2003年、家を売却することを決め、子どもたちを公立学校に転校させ、医療慈善団体「ニュー・ファンデーションズ」を立ち上げた。

「子どもたちは、とにかく学校を変わりたがっていたので問題ありませんでしたが、私たちの友人は、私たちが完全におかしくなってしまったと思っていました」

その後、夫妻は、デルタ州の牧師から現地では乳幼児の死亡率が高いことを聞き、危険を覚悟でその地へ行くことを決めた。

2人は、エネコロガと呼ばれるデルタ州の貧しい地区に診療所を開設し、長年にわたって現地人の医療訓練に取り組んだ。こうした活動により、現地の住民とも良好な関係を築くことができた。

エグベス・ボーイズがカルトだという話について、夫妻は拉致される前には聞いていなかったという。しかし、イジャー族の武装勢力は、銃弾から自分たちを守ると信じられている恐ろしい儀式を行うことで、地域の住民から恐れられていた。

シャーリーさんによると、拘束されていた間に聖書からある知恵を得て、夫妻は診療所で働いている多くの人たちも貧しい環境で生活していることを、拉致犯たちに話そうと努めた。

「最初、彼らは黙っていましたが、最後には彼らのうちの2人が、聖書の教えを知りたがるようになりました」とデービッドさん。デービッドさんは、自身を拉致した男たちに医学的な支援も行ったという。シャーリーさんは次のように付け加えた。

「私たちは、診療所で働いているエルサレムさんという人の話をしました。彼は問題のある人でしたが、クリスチャンになって人柄が変わりました。彼は(眼鏡技師であった)イアンから訓練を受け、眼鏡のレンズ屈折の計算までできるようになりました。すると警備していた1人が『この話は、もうやめよう』と言いました。私が『どうして?』と言うと、『あなたの言葉が私の魂に語り掛けてくるから』と答えました。もしかしたらエルサレムさんは、彼らの仲間だったのかもしれません」

宣教師3人は、3週間にわたる極限的な状況を生き延び、同僚の死を目の当たりにしながらも、最終的には解放された。拉致犯からは、ナイジェリア政府が身代金を支払ったからだと言われたという。

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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