早稲田大学YMCA創立130周年、信愛学舎創設100周年記念講演 古賀博氏と千葉眞氏

2017年11月9日06時52分 記者 : 河西みのり 印刷
Facebookでシェアする Twitterでシェアする
関連タグ:YMCA千葉眞
+早稲田大学YMCA創立130周年、信愛学舎創設100周年記念講演 古賀博氏と千葉眞氏
記念講演会の参加者=4日、日本キリスト教会館(東京・早稲田)で
- 広告 -

早稲田大学YMCA(代表理事:東條隆進・早稲田大学名誉教授)の創立130周年、同会が運営する学生寮「信愛学舎」の創設100周年を記念し、講演会が4日、日本キリスト教会館(東京・早稲田)で行われた。日本基督教団早稲田教会牧師の古賀博氏が奨励を、国際基督教大学特任教授の千葉眞(しん)氏が講演を行った。

講演会の前半は記念礼拝として、古賀氏が「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう」(創世記2章18節)から奨励のメッセージを語った。

「早稲田大学商学部の学生だった37年前に信愛学舎で多くの仲間に出会い、他者とぶつかりながら共に生活したその経験は、私の人生に大きな影響を与えた。しかし、最近では私自身もパソコンで教団の人間とやりとりをし、説教の準備をし、家族ともSNSでやりとりをするだけになっている。人間は独りでは神の目的を達成することはできない。他者と向き合い、支え合いながら生きていくことこそ、神が私たちを造られた目的。かつての信愛学舎での生活を今に生かすべく、悔い改めて新たに歩みたい。エチオピアに生息するゲラダヒヒは、他の種類のように力で相手を服従させるのではなく、音声コミュニケーションを取りながら平和的に暮らしているという。私たちもゲラダヒヒに負けてはならない」

早稲田大学YMCA創立130周年、信愛学舎創設100周年記念講演 古賀博氏と千葉眞氏
創世記2章18節から奨励する古賀氏

続く記念講演では千葉氏が登壇し、「無境界の思想――いま考える善きサマリア人の譬(たと)え」というタイトルで語った。千葉氏も早稲田大学政治経済学部政治学科の出身で、無教会のクリスチャンだ。

「『善きサマリア人の譬え』(ルカ10:25~37)でイエスは、『わたしの隣人とはだれですか』という律法学者の問いを『だれが隣人として行動したか』という問いへ転換した。律法学者の問いには、愛すべき隣人と、愛さなくてよい隣人とを区別し、選択できるといった前提がある。ここでイエスは、困窮者の隣人となること、隣人として行動することを要請した。

このサマリア人の譬えにあるのは、神の愛(アガペー)としてのすべての人に注がれる隣人愛と、正義による平和(シャローム)の思想。現代世界に切望される『精神のルネサンス』と『宗教改革』への鍵は、この聖句にこそあるのではないか」

早稲田大学YMCA創立130周年、信愛学舎創設100周年記念講演 古賀博氏と千葉眞氏
「無境界の思想―いま考える善きサマリア人の譬(たと)え」と題して講演する千葉氏

それから千葉氏は、「21世紀は『宗教』の時代が終わり、『啓示に基づく福音』の時代が始まる」として3人の言葉を紹介した。

スイスの神学者カール・バルトの言葉。「『宗教』は人間の側から努力して神に近付く方法、『啓示』は神の側から人間に近付く恩寵(おんちょう)による救いだ」

内村鑑三の言葉。「『啓示』による信仰とは単純なる信仰、信仰のみの信仰、結果に目を注がざる信仰、信仰のみをもって満足する信仰」

マルティン・ルターの言葉。「福音信仰とは、神にすがる『乞食の手』をもって神の義を受けること」

しかし、現代における「宗教」は、世界の紛争や戦争、テロリズムの温床になっている。エラスムスが『平和の訴え』で「いつの間にか人は宗教対立のあおりを受けて『平和の神』に従うことをやめ、『狂乱の神』に取りつかれてしまっている」と批判したとおりだと千葉氏は指摘する。

「こうした時代にあって、イエスの福音の中にある普遍的な愛(アガペー)と、徹底的な正義による平和(シャローム)が、各人にとっても、社会や世界にとっても、重要な価値規範であることは明らかだ。神の愛(アガペー)を実践し、平和主義を貫くことは、現代と将来の羅針盤となる。

現在の日本では、理想を語ることが必要。私は、日本国憲法に記された平和主義を基本とする『良心的戦争拒否国家』として歩む将来の日本を見てみたい。政治家や政党に対する不信が極まっているが、民衆の支持を得ることのできる、公正で気骨があり、信頼に足る政治家や外交官、ジャーナリズム、各種メディアが出てきてほしい」

そして最後に、こう締めくくった。

「信愛学舎をはじめとするキリスト教学生寮は、『善きサマリア人の譬え』が示す愛と正義、平和を実践できる場。学生たちが仲間と学び、対話と対論をしながら心を育む場になればと願っている」

1884年の東京専門学校(早稲田大学)開校から間もない87年、基督教青年会(YMCA)の学内活動(聖書研究会・祈祷会等)が開始され、1916年、信愛学舎が開設された。以来、中国・韓国からの留学生を含む男子寮として歩んできたが、第2次世界大戦中に取り壊し令が出され、60年に再建、2014年から男女寮として再出発し、都内の諸大学の学生が共に生活している。

この記事が気に入ったら「フォロー」しよう
フェイスブックで最新情報をお届けします
関連タグ:YMCA千葉眞

関連記事

クリスチャントゥデイからのお願い

いつもご愛読いただき、ありがとうございます。皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。

記事の一つ一つは、記者が取材をして書き上げ、翻訳者が海外のニュースを邦訳し、さらに編集者や校閲者の手も経て配信しているものです。また、多くのコラムニストや寄稿者から原稿をいただくことで、毎日欠かすことなくニュースやコラムを発信できています。

この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、読者の皆様にはぜひ、祈りと共に、サポーターとして(1,000円/月〜)、また寄付(3,000円〜)によって応援していただきたく、ご協力をお願い申し上げます。支払いはクレジット決済(Paypal)で可能です。希望者には、週刊メールマガジンも送らせていただきます。サポーターや寄付の詳細、またクレジットカードをお持ちでない方はこちらをご覧ください。

  • 金額を選択:
  • 金額を選択:

神学・教育の最新記事 神学・教育の記事一覧ページ

主要ニュース

コラム

人気記事ランキング