日本聖書協会がエキュメニカル晩餐会開催 江口再起氏「贈与の神学者ルター」について語る

2017年9月26日07時01分 記者 : 坂本直子 印刷
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+日本聖書協会 エキュメニカル晩餐会開催 江口再起氏「贈与の神学者ルター」について語る
エキュメニカル晩餐会で講演した江口再起氏=18日、帝国ホテル(東京都千代田区)で
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日本聖書協会が主催する「エキュメニカル晩餐会」が18日、帝国ホテル(東京都千代田区)で開催された。同晩餐会は、宗教改革500年を記念して行われたもので、教会や教派を超えたクリスチャン150人が出席した。

まず、同協会理事長の大宮溥(ひろし)氏が次のように開会のあいさつをした。

「宗教改革はプロテスタント諸教会の歴史の始まりであると同時に、キリスト教会全体の福音に基づく再形成(リフォーメーション)だった。来年刊行される『新共同訳』に代わる新しい翻訳聖書が、宗教改革500周年の実質的なアクションとなることを期待している」

続いて、日本福音ルーテル教会総会議長の立山忠浩氏もあいさつに立った。

「宗教改革は大きな恵みをもたらした半面、分裂と対立という負の遺産を残した。今年、宗教改革500年を祝う目的は、分裂と対立の歴史から、対話をもたらす歴史へと変えていくことにある。さまざまな神学者が関わる今回の新翻訳聖書は、エキュメニカルな運動に大きく寄与することになるだろう」

日本聖書協会 エキュメニカル晩餐会開催 江口再起氏「贈与の神学者ルター」について語る
晩餐会は、ルターの宗教改革の原点を思い起こし、エキュメニカルについてあらためて考える時となった。

続いて、日本福音ルーテル教会牧師でルーテル学院大学教授の江口再起(さいき)氏が「贈与の神学者ルター」と題して講演を行った。

宗教改革の原点は「信仰義認」(人は信仰によって救われるという教え)。ルターは転機となった「塔の体験」の中で、「正しい者は信仰によって生きる」(ローマ1章17章)という聖句が与えられ、神は怒り裁く方ではなく、天国への切符をプレゼントしてくださる恵みの神であることに気付いた。また、神の恵みを受け止めることが救いの信仰であること、人間の善行や頑張りや信仰心など、自力で人が救われるのではなく、ただ神の恵みによって義とされ、救われることを理解した。

江口氏は、この内実から、「信仰義認」を「恩寵(おんちょう)義認」と言うべきではないかと提案する。また、ルターが『キリスト者の自由』の中で「救済」のことを「喜ばしき交換」という不思議な言葉で表現していることについて、次のように語った。

「人間はキリストの義のゆえに救われるとされる。まさに人間にとって『喜ばしき交換』。ただ、これは『交換』というよりも、神による『救済の贈与』と言うべき。ルターによれば、救いは、人間の善行と神の恵みの交換ではなく、神の一方的な贈与、恩寵だからだ」

さらに、「私たちの信仰でさえも神からのプレゼントであり、まさに贈与の世界だ」と話す江口氏。「生きているのは、もはやわたしではありません。キリストがわたしの内に生きておられるのです。わたしが今、肉において生きているのは、わたしを愛し、わたしのために身を献げられた神の子に対する信仰によるものです」(ガラテヤ2:20)という聖句を引用して、「神から私たち人間にキリストという存在が贈与されたのであり、これが伝統的に語られてきたキリストの十字架の意味だ」と訴えた。

「まさにルターは神の恵みを語った神学者。それがルターの宗教改革の核心。神の恵み、恩寵、すなわち神の贈与を説き明かしたルターは、ある意味で『贈与の神学者』と言える。

こうしたルターの贈与の神学、恩寵義認の神学が、私たちが生きている現代社会とどのように関わっているのだろうか。

私たち人間が『神の愛の前で生きる』と言う時、人の領域と神の領域をしかと見定め、混同することなく生きていかなければならない。神の前に生きるということは、神の恵みを贈与とする生き方。それを私たちは『信仰』と呼ぶ。そして、そのように神の前に信仰を持って生きるならば、人の前で愛と奉仕に生きることになる」

最後に、ルターが『キリスト者の自由』の冒頭で掲げた2つの有名な命題「キリスト者はすべての者の上に立つ自由な君主であって、神の前で救いを約束された者として、何者にも束縛されない」「キリスト者はすべての者に仕える愛の僕(しもべ)」を引用し、次のように語った。

「私たちは1人のキリスト者として生きていく。神からの恵み(贈与)を与えられた人は、今度は隣人に対して愛の贈与に生きていく。

エキュメニズムというのは、単に教派間の再臨運動でもなければ、諸宗教間の協力運動でもない。その言葉の本当の意味は『全人類の共生』。

原発、戦争、テロ、貧困、難民、家庭の不和、精神的ストレス・・・。目の前の現実を見た時、私たちは希望を見失いそうになるが、『たとえ明日、世界が滅ぶとしても、私はリンゴの木を植える』とルターが語った希望こそ、神から私たちへの贈与だと思う」

日本聖書協会 エキュメニカル晩餐会開催 江口再起氏「贈与の神学者ルター」について語る
音楽ゲストのMCSメサイアコーラルソサイェティ合唱団

晩餐会には、音楽ゲストとしてMCSメサイアコーラルソサイェティ合唱団が出演し、「天使の糧」(セザール・フランク)、「アーメン・コーラス」(ヘンデル「メサイア」から)など、会場に美しい歌声を響かせた。また、来賓(らいひん)として、ヨイド純福音教会担当牧師イ・ヨンフン氏、韓国基督教放送(CBS)理事長キム・クンサン氏、キリスト教大韓聖潔教会聖楽聖潔教会担任牧師チ・ヨンウン氏、韓国キャンパスクルセード・フォー・クライスト代表牧師パク・ソンミン氏、クリスチャンセンター神戸バイブル・ハウス理事長の中村豊氏、同事務局長の角田正治氏、アークノアコンサート代表の池田幸子氏、日本クリスチャン音楽大学学長の星野誠氏らが招かれた。

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左から小橋孝一氏、米内宏明氏、寺田文雄氏

最後に、日本キリスト教協議会(NCC)議長の小橋孝一氏、日本福音同盟(JEA)副理事長の米内宏明氏、日本ペンテコステ協議会(JPC)議長の寺田文雄氏が祈りをささげた後、ルターが作ったコラール「神はわがやぐら」を参加者全員で賛美し閉会となった。

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