元小学校教諭が語る「9月1日問題」 助け手の存在を感じて

2017年9月1日15時07分 記者 : 守田早生里 印刷
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文部科学省「平成26年度自殺対策白書(抄)」から
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内閣府が2015年に発表した「自殺対策白書」によると、過去約40年間で18歳以下の自殺者数は、9月1日が他の日に比べて2・6倍に増加し、1年で最も多いという。

多くの学校で夏休みが明けるこの日、子どもたちとって、家庭から学校へと生活の場が一変することがその原因の1つといわれている。この日、死を選ぶほどの耐えがたい苦しみがある子どもたちが多くいるのだ。

そのことに心を痛めた人々、著名人からも、SNSなどを通して子どもたちへメッセージが送られるようになったことで、この日がクローズアップされるようになった。

きっかけは、2015年に鎌倉市図書館の職員がツイッターを通してつぶやいたこの言葉だった。

「もうすぐ2学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。マンガもライトノベルもあるよ。1日いても誰も何も言わないよ。9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね」

千葉県内の公立小学校の教員を30年間勤めたクリスチャン女性のKさんに話を聞いた。

――9月1日の子どもたちの様子は?

春休みとも夏休みとも違う緊張感が9月1日にはあります。40日ぶりにお友達に会えて、目を輝かせて喜ぶ子もいれば、「ああ、またあの生活に戻っちゃった」とどんよりとした顔をしている子もいます。一生懸命宿題をやって自信満々で来る子もいるし、どこか自信なさそうに来る子もいます。教員はこの日、とても注意深く子どもたちの様子を見ています。最近では「子どもの貧困」といった問題もあるので、「夏休み中、きちんとした生活を送っていたかな」など、細心の注意を払います。「夏休みの思い出」を語らせるにも、海外や、旅行に何度も行った子もいれば、どこにも行かないで、毎昼、500円玉を握りしめてコンビニのお弁当を1人で食べていた子もいたと思います。ですから、「思い出」を語らせるのも、「どこへ行った」ではなく、「何をした」を語らせるようにしていました。

――9月1日に18歳以下の自殺者が急増するそうです。このデータを見て思うことは。

いじめももちろんですが、精神的な負担を抱える子どもたちにとって、この日が来るのは何よりも嫌なことでしょう。対人関係のストレスを抱えている子には、耐えがたい苦痛もあるでしょう。夏休みの間は、一時、集団生活から離れて、家に引きこもることもできたかもしれません。しかし、学校が始まると、そうはいかない。そうした苦痛から死を選んでしまう子もいるということは、想像に難(かた)くないですね。

ただ、最近の学校は子どもに無理強(じ)いをしなくなりました。以前は、給食を残したり、好き嫌いをしたりすることなんて許されなかったのですが、最近は自分の食べられるものを、食べられる量だけよそって、食べることができるようになりました。

また、ケース・バイ・ケースですが、「無理して学校に来なくてもいいよ」ということを学校側からも言うようになりました。

――9月1日、学校に行きたくない子どもたちへ掛ける言葉があるとしたら?

学校がすべてではないということですね。学校が嫌いなら、嫌いでもいい。命を大切にしてほしい。「あなたの命はまだまだ使い切れていないよ。役立つ時が必ずあるから、それまで命を大切にしてほしい」ということを伝えたいですね。

また、「あなたは1人で生きているのではない。必ず助け手がいる。その助け手とは、目に見えないものかもしれない。でも、必ず助けてくれる」ということも付け加えたい。よくオリンピックの選手が、「不思議な力が湧いてメダルに手が届いた」なんていう話を聞くでしょう。その「不思議な力」こそ「見えない助け手」なのですね。私たちクリスチャンは、その力がどこから来ているのか知ることができますが、信仰がなくても、この「不思議な力」を感じる場面は多々あるのではと思います。ですから、この「助け手」を信じて生きてほしいです。私たちクリスチャンも子どもたちのために祈りたいですね。

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