日本人に寄り添う福音宣教の扉(25)日本文化に寄り添って 広田信也

2017年7月27日14時21分 コラムニスト : 広田信也 印刷
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日本の多くのキリスト教会は、欧米の宣教師たちによって開拓されたこともあり、聖書信仰を受け継ぐとともに、その背後にある欧米文化の影響をおのずと受け継いできている。

「文化」とは、社会の成員が共有している行動様式や物質的側面を含めた生活様式全般を指すらしいが、私たちが教会を訪れたときから、信仰とは別に、日本文化とは異なる欧米文化の影響を受けた生活様式に触れることになる。

例えば、教会ではよくあいさつ時に握手を求められる。親しみを込めた握手は心地よいが、握手をする習慣は日本にあまりない。私は30年以上の会社勤めの中で、外国人とあいさつする際は必ず握手をしたが、日本人と握手することはほとんどなかった。お辞儀をしてあいさつをするのが日本文化だからである。

日本では、家族の一員が亡くなると、長年受け継がれた日本の葬儀文化に沿って、家族親族の中で法要が繰り返される。法要とは、釈迦の教え(仏法)を知るということが本来の目的だったが、次第に、亡くなった者の冥福を祈ることが重要視されてきた。欧米文化にはない死者への思いやりを表す独特の日本文化である。

葬儀後には、納骨の日や四十九日法要まで自宅に小さな祭壇を作り、残された者や弔問客が訪れて祈る場となる。7日ごとに法要が繰り返され、7週目の49日目に重要な法要が営まれる。その後も1年後、3年後、7年後などに家族親族が集まり祈りをささげる。

亡くなった者への思いやりが、長年にわたってさまざまな儀式や思想を形成し、日本の葬儀文化を形作ってきた。家族親族の中で法要を行うことと先祖を大切にすることは、日本文化の中では一体化しているので、偶像礼拝を避けるために法要を否定すると、先祖を大切にする家族親族の絆まで失うことになりかねない。

一方、キリスト教会では、欧米文化の影響を受け、教会に集う人々を中心とする葬儀文化が育っている。記念会は教会と関係のある人々やその家族を対象としていることが多く、合同の記念会が催される。日本の葬儀文化に合わせて家族親族ごとの記念会を繰り返すことを勧めている例は少ない。

長年、教会になじみ、家族親族も教会に集っている人々にとっては、何の問題もないことであるが、教会の習慣になじんでいない者や、未信者の家族親族を多く持つ大半の日本人にとっては、キリスト教会の対応に物足りなさを感じることだろう。

さらに最近は、教会に集っていない信仰者や未信者のキリスト教葬儀が増える傾向にあり、仏教葬儀後の法要に当たる習慣がキリスト教に存在しないことに違和感を覚える者が少なくない。

私たちの働きでは、ご遺族の意向に合わせて納骨式を行うことがよくあるが、それ以外にも、弱さを抱える遺族を特別に覚えて訪問し、共に祈るときを持つようにしている。祈りの場を求める遺族には、キリスト教の家庭祭壇をご紹介させていただくこともある。依頼があれば少しでも対応したいところだが、習慣にないことを依頼する家庭はいまだ少ない。

現代の日本では、仏教葬儀文化の中で育まれてきた儀式や思想は次第に形骸化し、仏教式の法要といえども、異教的な偶像礼拝の要素は随分薄まってきた。僧侶の唱える読経の意味にこだわる人も少ないのが現実である。

この機に、聖書信仰に基づき、御言葉に沿った祈りを共にささげるキリスト教葬儀文化を、従来の仏教葬儀文化の上に乗せ換えたいものである。知恵が必要であるが、聖書に基づく先祖儀礼を大切にするキリスト教信仰の方が、よほど日本文化になじむように感じる。

先祖とのつながりや亡くなった大切な者への思いやりを、従来の仏教式の法要よりもはっきりと表現できる祈りの場を、日本の家族、親族に届けたいものである。

やがて、キリスト教家庭祭壇が仏壇にとって代わり、聖書と賛美歌が読経に置き換わる。そして、家族親族の祈り心を天のお父様にとりなす祈りの言葉が、日本の祈りの習慣に合わせて、それぞれの家庭で溢れてくるようになるだろう。いつの日か、日本のお盆休みは真の神様への祈りに満ちた時になる。

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広田信也

広田信也(ひろた・しんや)

1956年、兵庫県生まれ。1980年、名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。1981年、トヨタ自動車東富士研究所エンジン先行開発部署配属。2011年の定年退職まで、一貫してクリーンディーゼル新技術を先行開発。保有特許件数500件以上。恩賜発明賞、自動車技術会論文賞などを受賞。1985年、キリスト教信仰入信。2016年現在に至るまで教会学校教師。1988~98年、無認可保育所園長。2011年、関西聖書学院入学。2014年、同卒業。ブレス・ユア・ホーム(株)設立。2016年、国内宣教師として按手を受ける。

ブレス・ユア・ホーム

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