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依存症は誰もがなる可能性がある ティーンチャレンジ・ジャパンの設立者・木崎智之氏の特別講演会

2017年7月27日08時58分 記者 : 坂本直子 印刷
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+誰もがなる可能性のある依存症を克服するためには ティーンチャレンジ・ジャパンの設立者・木崎智之氏の特別講演会
木崎智之氏(写真:日本バプテスト連合東埼玉バプテスト教会提供)
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聖書を基盤とした依存症更生施設ティーンチャレンジ・インターナショナル・ジャパンの創設者、木崎智之(きさき・ともゆき)氏を講師に迎え、「依存症についての特別講演会――ご家族、関係者、関心のある方々のための支援セミナー」が8日、栗橋文化会館イリス(埼玉県久喜市)で開催された。

参加者は、当事者やその家族、地域の支援者、クリスチャンや教会関係者、ティーンチャレンジ・ジャパンの現役の生徒やインターン、卒業生など、50人以上。木崎氏は、「卒業後も続くファミリーとしてのつながりが、回復をいっそう確かなものにしている」と話す。

ティーンチャレンジは、薬物・アルコール・ギャンブル依存症者の更生と社会復帰をキリスト教精神で支援する団体。1958年、米国ニューヨーク、タイムズ・スクエア教会のデイヴィッド・ウィルカーソン牧師によって始められ、現在では世界各国に千を超えるセンターでその働きがなされている。木崎氏は英国留学中にティーンチャレンジに加わり、帰国後、2005年にティーンチャレンジ・ジャパンを設立した。その後、07年に沖縄センター、13年には岡山センターをオープンさせている。そこでは、聖書に基づいた共同生活を送る中で、多くの青少年が依存症から解放されているという。

10年間依存症について取り組んできた木崎氏は、薬物、アルコール、ギャンブルだけでなく、スマホ、買い物、勉強や仕事まで、あらゆるものが依存の対象になり、誰でも依存症になる可能性があることを話した。そして、依存症を「私たちの人生をコントルールするもの」と定義し、その判断基準は、それによって家庭生活や社会生活に支障を来すことであり、量などの問題ではないという。さらに怖いのは、本人がやめたいと強く思っても抜け出すことができないことであり、依存症から解放されるためには、家族や親類、友人の強い一致が必要であると訴えた。

依存症の人によく見られる行動には「現実否定」と「自己防衛」がある。依存症になった人は、悪いことをしていると自覚しているが、それを認めてしまうとセルフイメージが崩れるため、うそをついて「現実否定」するのだ。聖書に「愚かな者は自分の愚かさで自分を欺く」(箴言14:8、新改訳)とある通りだと木崎氏。また、バリアーをはって真実を指摘させないという「自己防衛」により、正当化、全否定、すり替え、脅迫など、あらゆる手段を使って攻撃してくるという。木崎氏は、「依存症の人に『現実否定』や『自己防衛』が見られたら、ぜひ治療を受けさせてほしい」と呼び掛けた。

依存症を治すためには、まず家族全員が「これは依存症だから、やめさせよう」と一致団結することが必要だという。「依存症者は約束を守れない人だが、家族は約束を守る人になってほしい。家族が1枚岩になって治そうとすれば、本人には必ずその本気さが伝わる」

その上で、依存症者への関わりにおける落とし穴についても話した。その1つは「イネイブリング」。助けているつもりが、かえって依存をより可能にしてしまうことだ。例えば、家族が自分たちの生活習慣を変えて依存症者に合わせようとする。または、周囲から非難されないよう守ったり、依存症であることを隠そうとしたりするのだ。

もう1つは「共依存」。両者が依存し合っている状態のことで、依存症の人を助けることで自分の存在価値を確認しているようなケースをいう。自分が問題を持っていることを皆に同情してほしいと思うなど、依存症の人がいること自体で自分のニーズを満たしているのだ。そして、こういったことは母親に多いといわれるが、それは女性特有の心性から来るのではなく、子育て時の父親不在という日本社会に原因があるという。

依存症を「克服する」とは、何かを「やめる」ことではなく、「自立する」ことだと木崎氏は訴える。自立するとは、自分で考えて行動し、その責任をとっていくこと。したがって、過保護、過干渉は逆効果になってしまう。「健全な人生を送るためには『使命』を持つことが必要。『自分は何をするために生きているのか』ということをしっかり受け止め、いのちを使っていく。意味のあるいのちの使い方が分かったら、酒を飲んで酔っ払っている暇はなくなる」と力を込めた。

誰もがなる可能性のある依存症を克服するためには ティーンチャレンジ・ジャパンの設立者・木崎智之氏の特別講演会
講演会の様子(写真:日本バプテスト連合東埼玉バプテスト教会提供)

講演の最後、元依存症者のAさんが自らの体験を語った。幼い時に母親を自死で亡くしたAさんは、中高生時代、引きこもりの生活を送っていた。それでも父親の愛に支えられ、大学・大学院に進学できたが、就職活動の最中に最愛の父が亡くなり、急にむなしさに襲われたという。その不安から逃れるため酒浸りの生活が始まり、やがて精神科病院に入院。入院中に内定が決まるが、「自分の人生には生きがいが何もない」と思い、自殺を図る。その後、ティーンチャレンジに来て、最初はキリスト教施設に違和感を覚えたAさんだったが、1つの聖書の言葉に出会ったことで変えられていく。

肉の業は明らかです。それは、・・・ねたみ、泥酔、酒宴、その他このたぐいのものです。・・・このようなことを行う者は、神の国を受け継ぐことはできません。これに対して、霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容・・・これらを禁じる掟(おきて)はありません。(ガラテヤ5:19~23)。

「アルコールは一時的には不安を忘れさせてくれたが、平安はなかった。でも、聖書の言葉は私に心からの平安を与えてくれた」と語るAさんの表情は穏やかで、壮絶な依存症者時代の面影はまったく見られなかった。

また、この日は質疑応答の時間もたっぷり取られ、参加者からはさまざまな質問や意見が出た。

主催した日本バプテスト連合東埼玉バプテスト教会の木田浩靖牧師は、「だから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけるがよい」(Ⅰコリント10:12)という聖書の言葉を引用しながら、次のように語った。

「私たちも少なからず何かしらの依存対象を持っている。聖霊なる神の導きを仰ぎつつ主の道を歩むことがなければ、どこからでも私たちは依存症に陥る可能性がある。今日の講演では、『真の自立』『いのちの使い方』『生きる意味を知ること』等、大切なメッセージを改めて受け取った。この依存症からの解放・回復のために重荷を持たれている方々、また木崎先生をはじめこの働きに尽力されている方々のためにもっと祈っていきたい」

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