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貧困に苦しむ子どもたちにキリストの愛を示そう ケニアのマゴソスクール校長が聖学院大で講演

2017年7月4日06時51分 記者 : 坂本直子 印刷
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+アフリカ最大規模のスラム街で子どもたちに愛を マゴソスクール校長が聖学院大で講演
ダン・オチエン校長(右)とマゴソスクール主宰者の早川千晶さん。早川さんは、世界放浪の旅の後、ケニアに定住し、ケニア在住28年。1999年からは日本全国各地でアフリカトーク&ライブのツアーも展開している=6月27日、聖学院大学 (埼玉県上尾市)で
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アフリカ最大規模のスラム街、キベラスラム(ケニア)にある学校「マゴソスクール」のダン・オチエン校長が6月27日、聖学院大学(埼玉県上尾市)で特別講演を行った。5月上旬に来日し、約1カ月半の間に25都府県で講演活動を行い、この日が日本での最後の講演となった。牧師でもあるオチエン校長は、貧しいながらも助け合いの精神で孤児たちを支えているマゴソスクールについて紹介し、インタビューでは日本の教会に向けたメッセージも語った。

アフリカ最大級のスラム街に息づく「ハランベー精神」

マゴソスクールは、キベラスラムに住むリリアン・ワガラさんが孤児に教育の場を提供したいと、1999年に自分の長屋の一室を開放して始まった。その後、ケニア在住の日本人、早川千晶さんと出会ってから、二人三脚で発展させ、現在では幼稚園から小学8年生までの子ども約500人が在籍している。

ケニアの首都ナイロビは人口390万人と、アフリカでも有数の世界都市。その中心部から5キロメートルほど離れたところにあるキベラスラムは、貧しい地方からやって来る出稼ぎ労働者の町だ。2・5キロ四方に、ナイロビの人口の約半数に当たる200万人余りが暮らす。重なるように建てられた小屋で家族全員が生活する。国の都市計画からも漏れ、下水道はおろか道路もなく、迷路のような狭い道があるだけだ。そこに暮らす子どもたちには医療保険もなく、義務教育も受けられないという。

しかし、「そこには『ハランベー精神』が息づいている」とオチエン校長。ハランベー精神とは、「みんなで助け合う」という意味。ケニアには、言語も文化も違う42の民族が存在するが、キベラスラムにはそのほとんどの民族が暮らしている。国からの支援がなくても助け合い、スラム街の中で食堂やブティック、リサイクル店などを開いて、人々が生活している映像が講演の中で紹介された。

オチエン校長は10代で両親を亡くし、田舎の幼い弟や妹たちを助けるため、仕事を求めてナイロビに出てきてキベラスラムで生活することになった。過酷な日々を送る中で心の支えになったのは、「人生は大変。でも、絶対に諦めなければ、今日より明日は絶対よくなるはず」と繰り返し教えられた母の言葉だった。そして、そのような生活をする中で出会ったのが、孤児やストリートチルドレン、虐待を受けた子どもたちのための学校、マゴソ―スクールだった。

アフリカ最大規模のスラム街で子どもたちに愛を マゴソスクール校長が聖学院大で講演
講演会には約70人が参加し、スラム街で暮らす子どもたちに勇気や希望を与える活動について耳を傾けた。

子どもたちの「頭脳・心・手」の成長を手助け

スラム街で暮らす子ども、特に孤児たちは、暴力や性的虐待に苦しんだり、何日も食事をできなかったりと、困難な状況に置かれている。「生きる希望を失っている彼らに、生きるために必要な基本的なことを与える必要がある」とオチエン校長は力を込める。マゴソスクールは、スラム街の劣悪な環境から子どもたちを守り、ケニアの他の公立学校に通う子どもと同じ水準のカリキュラムで勉強を教えている。おなかをすかした子どもがいれば食事も提供する。職員は全員がスラムの住民だ。

マゴソスクールでは、子どもの成長に大切な3つの部分を発展させる手助けしている。まず「頭脳」で、いろいろな知識を得させること。次に、「心」を強くし、生きる価値を見いださせること。そして、「手」作業を通していろいろな才能が生まれ、生きる力になっていくという。

マゴソスクールは、子どもだけでなく、困った状況にあるすべての人が共に生きていく場所でもある。スラム街の貧困者のための洋裁と大工の職業訓練校と作業所も併設している。作業所で作られたものは販売され、学校の運用資金や貧困家庭のサポートに充てられる。

講演の最後、オチエン校長は、日本の学生たちにこう訴えた。「皆さんは何のために生きていますか。あなたの心の中にある愛を周りの人たちと語り合い、他の人に伝えてください。日本にも困っている人がたくさんいます。どうか周りに目を向け、勇気を出して、困っている誰かを幸せにするための一歩を踏み出してください」

日本の教会に伝えたいこと

マゴソスクールでは、金曜日の朝1時間が聖書を読む時間になっている。子どもたちの9割はキリスト教徒だが、1割はイスラム教徒。牧師でもあるオチエン校長は、その時間はイスラム教徒にも愛を示す良い機会だと考えているという。

子どもの貧困などの問題は日本でも取り沙汰されている。講演前にインタビューに応じたオチエン校長は、日本の教会に向けて次のように語った。「社会にとって良いことをし続け、キリスト教的価値観を子どもたちに教え、神の愛を示し続けることが大切です」

アフリカ最大規模のスラム街で子どもたちに愛を マゴソスクール校長が聖学院大で講演
日本語でメッセージを伝えるドリス・アウィノさん。その姿を見てオチエン校長は言う。「日本に来てドリスは視野が広がり、心も成長している」

また、日本のクリスチャンに最も伝えたいこととして、次の4点を挙げた。イエス・キリストを宣(の)べ伝えること。困っている人を助け続けること。神をあがめ、礼拝を続けること。そして、自分自身が良い人生を生きること。このように歩むクリスチャンの姿を見ることで、周囲の人たちがキリスト教的な価値観を見いだすことができる、とオチエン校長は言う。

聖学院大学には、マゴソスクール出身のドリス・アウィノさん(2年生)が在籍している。同大の聖歌隊にも所属しているアウィノさんは、障がい者の教育をサポートするのが夢で、人間福祉学部のこども心理学科で特別支援教育の勉強をしている。「どんな国でも、教育は大事だと思う。知識を身に付けることによって、いろいろな人たちとも出会えるし、生活も変わる。これからも学んでいきたい」と講演後に抱負を語った。

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