異端・カルトシリーズ(4)神の愛と家族の愛を受けて 統一協会からの脱会

2017年5月24日17時34分 記者 : 守田早生里 印刷
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統一協会の教典である『原理講論』
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戦後、「原理研究会」で洗脳された大学生が家出すると問題になり、さらに高額のつぼや印鑑を売りつける「霊感商法」が取り沙汰され、芸能人の「合同結婚式」への参加などでその名が一気に知れ渡った統一協会(正式名称は世界平和統一家庭連合)。そこにかつて入信し、信者らと共同生活を送った経験のある関東在住のSさんに話を聞いた。Sさんは現在、クリスチャンとして多くの人に福音を宣べ伝えている。

Sさんが生まれたのは東日本の小さな田舎町。幼い頃、クリスマスの時に、近所のキリスト教会に行った記憶がある。両親の愛を受け、兄弟と共に何不自由なく育った。高校時代、クリスチャンだった教師に誘われて教会に足を運んだこともあった。しかし、この時は聖書の話が難しくてよく分からず、「教会はつまらないところ」といったイメージしかなかった。

大学を卒業したものの、思うように就職もできず、アルバイトをしながら、人生の目的を見失っていた時、駅でアンケートを求められた。あまりにも熱心に話し掛けてくるので、「それくらいなら、いいか」と気軽に考え、答えてあげた。アンケートを書きながら、さまざまな会話を交わし、そのうちに、当時「ビデオセンター」と呼ばれるところに連れて行かれた。そこには、同じ年くらいの男女が大勢いた。ここが統一協会の支部にあたるところだったとは、初めは気づかなかった。

彼らと話をするのは単純に楽しかった。くだらない話をする時もあれば、真剣に人生について語り合う時もあった。彼らの主張は、「私たちが目指すのは地上天国(世界平和)」だったという。そのため、日本から韓国に海底トンネルを掘っているとか、そのトンネルはいずれロシアにつながり、世界が統一されて平和になり、地上天国となっていくと、目的を見失った若者の心をうまくくすぐるヒロイズムにも似た何かがあった。

程なくして、統一協会主催の合宿に参加することになった。Sさんはこう話す。

「ちょうど、現在のキリスト教会でもよく行うサマーキャンプのようなもの。みんなでゲームをしたりもしますが、徹底的に教理を詰め込まれ、キリストは失敗したが、文鮮明は再臨のキリストとして私たちを救ってくれると洗脳されて、私はその最終日に呼び掛けに応えて『献身』の名乗りを上げてしまいました。その場にいたほとんどの若者が私と同じように名乗り出るのです。実はその多くがサクラだったことには後になって気付くのですが・・・」

それから、信者らと小さなマンションでの共同生活が始まった。入信直後、両親がマンション近くまでやって来た。喫茶店で少し話をしたが、説得にかかった両親の話に耳を傾けることも、泣きながら「待って。行かないで」と叫ぶ母の方を振り返ることもしなかった。その時のことをSさんはこう話す。

「つらかったです。母の声も聞こえていたし、家族を悲しませているのはよく分かっていました。しかし、いつか両親も分かってくれる。私は世界平和のために、ひいては家族のためにここにいるんだと思っていたので、振り返ることはできませんでした」

共同生活では、住むところと食べるものは協会から与えられていた。ある日、全国を回っている徳の高い霊能者といわれる人がやって来て、「あなたの先祖は武士で、何人も人を殺している。その呪縛であなたの弟に不幸が訪れる。その呪縛から解かれるにはつぼを買えばよい」と言われ、貯金を解約して50万円で購入した。

「心の中では、『このつぼで本当に弟が助かるのかしら』と思っている。でも、その疑心暗鬼になっている部分をぐっと押し殺して、『疑ってはいけない。サタンにだまされてしまう』と自ら思い込むように洗脳されているのです」

統一協会では、「キリストの御名によって」ではなく「文鮮明先生ご夫妻の名によって」よく祈っていたという。「経済活動」という名のもとに、花や海産物などを売りに出かけた。大きな車に皆で乗り合わせて戸別訪問をしたり、工場や会社を回ったりした。つぼや印鑑を売る霊感商法も手伝った。すべては「世界平和のため」。

家族との面会は禁じられていたが、当時、電話は取り次いでくれた。ある日、両親からの電話で、大好きだった祖母が入院したと聞かされた。「もしかしたら危ないかもしれない。Sちゃんに会いたがっているから、1度でいいから元気な姿をおばあちゃんに見せてあげて」と言われ、協会幹部も承諾せざるを得なかった。

病院へ向かい、面会が終わると、すぐに帰ろうとしたが、「近くに来ているんだから、家でお茶の1杯でも飲んでいけば」と言われた。渋々、実家まで行くと、そこにはいとこや叔母、叔父、あらゆる親戚が待ちかまえており、車に乗せられて、統一協会からの救出をしている教会に連れて行かれた。

「サタンの仕業だ」と思っていたSさんは、必死に逃げようと、取り上げられたバッグの中から100円玉1枚だけをそっとトイレの窓の下に隠しておいた。朝方、みなが寝ているうちに家を出て、公衆電話から協会に連絡して助けを求めようと思ったのだ。しかし結局、100円玉も見つかってしまい、逃げることはできなかった。翌日から牧師は、統一協会の間違いと正しい聖書の読み方を熱心に話してくれたが、初めはまったく耳に入ってこなかった。

教会には父母と一緒に泊まり込み、牧師の話や統一協会からの脱会者の証しを聞いた。夜寝ている時は、20歳をとうにすぎた娘の手を母はしっかりと握って放さなかった。「逃がさないわよ」という思いだったのかもしれないが、Sさんはその母の手のぬくもりにどこか安心感を覚えたという。

教会での生活が数日続き、Sさんの心に迷いが生じた。

「真理はどっちなんだろう」

会堂の中で必死に祈った。

「神様、私を真理へと導いてください。統一協会が真理だというなら、私はあの場所にもう1度戻ります。もしキリストが真理だというのなら、ここにとどまらせてください」

そうやって祈る娘の背中を父はそっと抱きしめ、泣きながら、「S、しっかりしてくれ。目を覚ますんだ」と声を掛けてくれたという。

両親の愛と神様の愛によって、教会での生活が4日目になった頃、ようやくSさんは、統一協会は間違いだと思い始めた。そして数日後の礼拝の中で、「イエスの血潮のみが救いの道である」ことを悟り、統一協会との決別を口にしたのだという。

「私の場合は洗脳が解けるのがとても早かったと思います。統一協会にいた期間がおよそ半年と短かったこと、幼い頃に行った教会学校のクリスマスの思い出、そして両親が必死に私を救い出してくれたことが大きかったのでしょう。しかし、一緒に共同生活を送っていた友人たちのことを思うと、心が張り裂けそうでした。彼らは、それが平和への道だと思って活動をしているのです。悪いことをしてるなんて少しも思っていないのです。彼らのためにも祈っています」

それから、しばらくは教会の近くに住み込んで早天礼拝、祈祷会を欠かさず、それとともに仕事も見つけ、一般社会に復帰した。

受洗したこの教会で、統一協会からの救出活動に携わった時期もあった。娘が合同結婚式をして、言葉も通じない外国に行き、その行方を捜して相談に訪れる両親もいたという。また、友人の中には、合同結婚式に向かおうとして成田空港で保護され、救出された人もいる。

最後にSさんはこう話す。

「統一協会やほかのカルト宗教にのめり込んでいる息子さん、娘さんがいて、悩んでいる親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、決して諦めないでほしい。神様の愛と親の愛、これによって必ず救い出せると信じて、諦めず救出活動を続けてほしい。それから、今、統一協会などへの入信を迷っている人、また入信してしまったが、真理が見えないと思っている人は、どうかキリストの教会につながってください。キリストこそ真理です。聖書の言葉がすべてを語っています。どうやって抜け出したらいいか分からず、悩んでいる人がいたら、近くの信頼できる相談機関に連絡してみてください。必ず道は開けます」

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