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トランプ氏、言論・宗教の自由を促進する大統領令に署名 歓迎と懸念の声

2017年5月5日21時44分 記者 : 内田周作 印刷
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+トランプ氏、言論・宗教の自由を促進する大統領令に署名 歓迎と懸念の声
大統領令に署名する米国のドナルド・トランプ大統領(中央)(写真:フランクリン・グラハム氏のフェイスブックより)
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米国のドナルド・トランプ大統領は4日、宗教団体などの政治活動に対する制限を緩和することや、避妊や中絶に対する医療保険の適用を義務付けている規則の変更などを盛り込んだ大統領令に署名した。昨年の大統領選の時期から言及していたもので、米国の教界内では歓迎する声がある一方、分裂をより深める可能性があるとして懸念を示す声も出ている。

4日は米国が定める「国家祈祷日」で、トランプ氏はホワイトハウスで開かれた式典の中で、宗教指導者らが立ち会う中、「言論の自由と宗教の自由を促進する大統領令」(英語)に署名。時事通信によると、「信仰を持つ人々が標的にされ、いじめられ、沈黙させられるのをこれ以上許さない。教会に声を取り戻す」などと強調した。

大統領令には、教会を含む宗教団体が政治活動をした場合、免税措置を無効化することを定めた「ジョンソン修正条項」(1954年)の緩和を求める内容が書かれている。内国歳入庁(IRS)に同条項の適用を控えるよう求めるもので、連邦政府の各機関に対しては、宗教を理由にした差別を行わないよう要求している。また、予防治療として避妊や中絶に対しても医療保険の適用を義務付けている現行の法体制の変更を検討するよう求める内容も記されている。

「歓迎されるべき変化」

米最大のプロテスタント教派で保守的な立場の南部バプテスト連盟(SBC)の指導者らは、大統領令を歓迎するコメントを発表した。バプテスト・プレス(英語)によると、SBC倫理宗教自由委員会のラッセル・ムーア委員長は、オバマ前政権の政策と比較しつつ、「この大統領令は、信仰を持つ人々に対するホワイトハウスの方向性において歓迎されるべき変化だ」と語った。SBC執行委員会のフランク・ペイジ委員長は、トランプ氏が以前、宗教の自由に対して強い後押しをすると語っていたと述べ、「人々が自分の信仰によって自身を表現できることは重要だ」と述べた。

これまでトランプ氏とも面会し、ジョンソン修正条項の廃止などを求めていた大衆伝道者のフランクリン・グラハム氏はフェイスブックに、「国家祈祷日の今日、ホワイトハウスで多くのことが成し遂げられました」と大統領令を歓迎。当日は娘のシシーさんと共に式典に参加し、グラハム氏によると、前日夜にはホワイトハウスで他の牧師やキリスト教指導者らが参加する夕食会が開かれたという。

避妊・中絶に対する医療保険の適用義務変更は歓迎

カトリック系のCNS通信(英語)によると、米保健福祉省はこれまで、宗教的信条を持つ雇用主に対して、たとえ道徳的に反対の立場であったとしても、従業員の避妊などに対して医療保険を適用するよう義務付けていた。米国カトリック司教協議会(USCCB)会長のダニエル・ディナルド枢機卿は声明(英語)を発表し、「今日の大統領令は、保険福祉省による義務の大きな負担を軽減するプロセスの始まりです」とコメント。今後も行方を見守っていく必要があるとしつつも、「近年、信仰を持つ人々は、連邦政府、また連邦予算を割り振られている州政府の両者から、宗教の自由に対する高まる制約を経験してきました」などと述べ、宗教的多様性が守られる社会の重要性を強調した。

米国福音同盟(NAE)も、大統領令を歓迎する声明(英語)を発表し、「宗教団体が、中絶につながる処置、またすべての人命を守るという信条に反するようなサービスを提供しなくてもよくなるという、今日の約束(大統領令)を歓迎します」と述べ、医療保険の適用義務の変更については歓迎の意向を示した。一方、ジョンソン修正条項の緩和については、今年2月に行った独自の調査で、福音派指導者の約9割が、牧師が説教の中で特定の政治候補者を支持すべきではないと回答していることを挙げ、距離を置いた。NAEのリース・アンダーソン会長は「福音派は伝道を重視します。そして牧師たちは福音のメッセージよりも優先されてしまうような論争を避けることが多いのです。私が知っている牧師たちの多くは、政治家を推薦することは好みません。聖書を教えることに集中したいのです」と述べている。

分裂を深める可能性、教会が政治運動の乗り物に

大統領令に懸念を示す声もある。宗教ニュースサービス(RNS、英語)によると、ワシントン大聖堂(聖公会)のランディー・ホレリス主席司祭は、「ジョンソン修正条項の規制を緩和することは、この国のイデオロギー的分裂を深める可能性があり、その架け橋となるものではありません。この動きは教会を政治化させ、なすべき使命から私たちの気をそらせ、団結しようとしている人々を二分させてしまいます」と語った。

また、米国のバプテスト派15団体からなる「宗教の自由のためのバプテスト共同委員会」のアマンダ・テイラー委員長は「この大統領令は、宗教の自由に対する懸念を表明する象徴的な法令として表明されていますが、宗教の自由を前進させるものは何も提示していません」とコメント。「さらに悪いことに、これはトランプ大統領が教会を政治運動の乗り物にしようとしていることを、ますます示すものなのです」と非難した。

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