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この人に聞く(28)「人を動かすのではなく、人を認める」 Family First Japan 代表・小林宏繁さん

2017年3月10日12時12分 印刷
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+この人に聞く(28)「人を動かすのではなく、人を認める」 Family First Japan代表 小林宏繁さん
各地でセミナーを開催する小林宏繁(ひろしげ)さん=在日本韓国YMCAアジア青少年センター(東京都千代田区)で
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幼稚園、企業などで子育てや人間関係のセミナーを行い、ファシリテーターとしての活動を行う「Family First Japan(ファミリー・ファースト・ジャパン)」代表の小林宏繁(ひろしげ)さん。

小林さんは1956年、長野県に生まれる。大学卒業後、キリスト教主義の自由学園(東京都東久留米市)で教師として働き始め、37年間そこで教えてきた。

その間、大好きなバスケットボールを米国のセントメアリー大学やインディアナ大学などのコーチたちから学び、89年、33歳の時、米国に留学してニューヨーク州立大学教育科学修士課程を修了した。ホームステイ先がクリスチャンだったこともあり、妻と共に洗礼を受けたのは、小林さんが39歳の時だ。現在は久留米キリスト教会(東京都東久留米市)に夫婦で通っている。

退職後、平日は与野ひなどり保育園の園長を務める。園児だけでなく保護者からも「温かくて優しい先生」として親しまれているという。

小林さんは2013年から、クリスチャンカウンセラーで牧師としても著名な柿谷正期氏(柿谷カウンセリングセンター所長)のもとで選択理論心理学とリアリティーセラピーを学び始めた。それは、相手の選択の自由を尊重し、人が自分で決断し、納得して、自らの抱える問題に向き合いながら解決していくという心理学だ。

現在、小林さんは、保育園の周辺地域の保護者を対象に、園に併設された地域支援センターでセミナーを開催したり、スポーツをしている小中高生の保護者や大学運動部の学生を対象に講演会を行ったりしている。また、子育ての仕方を改善するため、夫婦をファシリテートすることもあり、夫婦関係で行き詰まっている人の相談をこれまでも受けてケアしてきた。

この人に聞く(28)「人を動かすのではなく、人を認める」 Family First Japan代表 小林宏繁さん
会社経営者やОLらに公共福祉の問題解決について講演を行う小林さん=在日本韓国YMCAアジア青少年センター(東京都千代田区)で

人間関係を築くためのスキル

小林さんは、「この学びや活動を通じて、人との関わり方について、『聖書の黄金律』と呼ばれる教えからたくさんのことを学ぶことができました」という。「何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい」(マタイ7:12)という聖書の言葉だ。

「人間関係を築くために必要なスキルとして、7つの関わり方があります。『傾聴する』『受け入れる』『励ます』『支援する』『信頼する』『尊敬する』『違いを交渉する』です」

普段の生活の中でこのスキルを実践し、相手を理解し、承認する言葉や態度で関わることができれば、自分自身が変わり、相手との関係も自然に変わっていくという。

「神様はご自身の意志をもって私たちを愛してくださいました。だから、この7つのスキルは神様の愛と同じだなと思ったのです。聖書を読めば読むほど、この7つを身に付けることで人をより大切にできることが分かりました」

関係を壊すスキル

では、「関係を壊すスキル」もあるのだろうか。

「それは、罰する、責める、批判する、ガミガミ言う、脅す、文句を言うことですね。そして、褒美で相手を釣ることも。このようにしてくれたら、おまえにこうしてあげるよと」

このような行為は、感情で相手を非難し、自分の考えで思いどおりに人を動かそうという外的な動機が見えてくるという。つまり、相手を尊重せず、受け入れていないのだ。

「でも、私たちは日頃の生活の中で、ついついこういうことをやりがちです」

2つの気付きを通して変えられた

「僕はどちらかというと、自分は間違っていないと考えて、生徒を批判し、責める人生を送ってきました」

スポーツの世界では特に、コーチとプレーヤーの間に強い外的動機付けがある。小林さんも半強制的に「やらされる」という環境の中で育ってきた。「ただ、精神面で鍛えられたことは多くあります。全てが悪いわけではありません」と断りつつも、「自分は潜在意識の中で『人を動かす』という感覚を持ったまま教員生活を送ってきました」と当時を振り返る。

今から二十数年前のある日のこと。学校の礼拝に出席していた小林さんは、おしゃべりをする生徒に目が留まり、「出ていけ」と怒った。しかし、横に座っていたクリスチャンのベテラン教諭がその生徒に向かって、「君たちのために礼拝があるのだよ」と語り掛けたのだ。小林さんはこの瞬間にハッとしたという。相手の存在を消すような言葉を放った自分をとても恥ずかしいと思ったという。

また、ある日のこと。生活態度が悪い生徒を職員室に呼び出し、生徒の話に耳を傾けたという。しかし、聞き終わってから「でもね・・・」と否定感情の言葉で遮った瞬間、生徒は激怒したという。

「先生はいつもそうじゃないですか。人の話を聞いているけど、本当には聞いていない。なぜ、『でもね』って遮るんですか」

ここでも小林さんは、自分が「聞く」ということにおいて、どのような態度が求められているのかに気付かされた。いつの間にか「教員は上で、生徒は下」と考えていたのだ。

この体験を通して小林さんは変わっていく。

この人に聞く(28)「人を動かすのではなく、人を認める」 Family First Japan代表 小林宏繁さん
スポーツをしている子どもたちの保護者向けのセミナー=埼玉県朝霞市(写真:小林さん提供)

「違い」は「間違い」ではない

米国で生活をしたことのある小林さんに、日本との家族観の違いについて聞いた。

「日本はまだ家族はしっかりしているように思います。しかし、米国は人種も多く、多種多様な価値観や、加えて教育問題などがあります。それが家族、夫婦間で複雑な問題を引き起こすと聞いています。日本も今後はどうなるか分かりません。今のままでは同様の問題がたくさん起きると思います」

さまざまな考えを乗り越えて、皆がコミュニケーションを通じて幸せになってほしいと願うが、「好きだから結婚し、嫌いだから別れる」というのが実情だ。「日本でも、相互理解、互いを認めて受け入れることが成立していないカップルが多い」と小林さんは指摘する。

「人は自分の物差しを判断基準にして、他者と比較してしまいます。その結果、そこから自分との違いを『間違い』として誤認してしまうのです。人は自分と相手を天秤にかけます。そのようにすると、相手もあなたを秤にかけてくるのです。聖書が言う根本的な教えは、自己犠牲です。自分の利益ではなく、相手のことをまず大切に考えたいですね」

小林さんは「愛とは、心から大切にするという意志」と表現する。

「あなたでよかった」と言える関係

小林さんが特に力を入れているのが、ゼロ歳から就学前の子どもを持つ保護者との関わりだという。子どもにとって最も大事な時期だからだ。「近い将来の社会の核となる今の子どもたちを大切にしたい」と小林さんは話す。「こうすることで、子育てや家族も変わるし、日本も変わると思います」

実際に小林さんのセミナーを受講した参加者は、「子育てが楽しくなり、夫婦の関係も良くなりました」と喜ぶ。

「1人でも多くの人に幸せになってほしいですね。あなたがいて、僕がいる。互いに存在を認めて、『あなたでよかった』と言える関係を築いてほしい」

今年からは、教会などのキャンプでも積極的にセミナーを開催していく予定だという。また、既婚の夫婦など、中高年の世代にもこのことを伝えていきたいと考えている。ぜひ公式サイトから問い合わせをしてほしい。

Family First Japan(ファミリー・ファースト・ジャパン)

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