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チョコ募金でイラク・シリア難民の子どもたちに支援を バレンタイン展

2017年2月12日18時35分 記者 : 守田早生里 印刷
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+チョコ募金でイラク・シリア難民の子どもたちに支援を バレンタイン展
「イラク・シリアの子どもたちへ バレンタイン展」の様子=10日、ギャラリー日比谷(東京都千代田区)で
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日本が経済的にも国際的にも大きな発展を遂げ、バブル期に突入した1990年代。誰もが浮足立ち、見るもの全てが輝いて見えていた頃、イラクでは湾岸戦争が勃発。続く2003年にもイラク戦争が勃発し、その際に使用された「劣化ウラン弾」により、イラク国内では、小児がん患者が急激に増え始めていた。

「戦後の復興も進まない! 病院には薬もない!」と嘆く現地イラクの医師たちの声を聞き、立ち上がったのが、日本イラク医療支援ネットワーク(JIM−NET)だ。

「日本は、米国のイラク攻撃を支援した責任がある」と同団体では訴え、設立以来、イラク国内にいるがんに罹患(りかん)した子どもたちの医療支援を中心に行ってきた。

「今まで支援してきた子どもたちの数は数え切れない。イラクにある病院に薬を届けるのが主な支援なのですが、そこにはシリアからの難民、イラク国内にいる難民、多くの人がやって来ます。やってもやっても減っていかないというのが実情。難民となって、欧州などに避難できる家族は、その避難先で治療を受ければよいのですが、そのお金もないとなると、現地で何とかしなくてはならないのです。私たちが支援をしているのは、こういった子どもたちが中心です」と話すのは、同団体の佐藤真紀事務局長。

佐藤氏は、先月中旬までイラクに滞在し、現地調査、支援活動を行ってきた。今月末から再びイラクに向かう予定だ。

チョコ募金でイラク・シリア難民の子どもたちに支援を バレンタイン展
JIM−NETの佐藤真紀事務局長

同団体では、毎年この時期に「チョコ募金」として、がん患者の子どもたちが描いた絵をモチーフにした缶に、支援協力をしてくれている六花亭のチョコレートを詰め、販売している。材料費を除いた売り上げが支援に回るといった仕組みだ。毎年、この缶のデザインを楽しみに購入客が殺到し、すでにインターネットなどの受け付けは終了しているものの、在庫のある協力店ではまだ購入することができる。

今年、チョコ缶のデザインをしたのは4人の少女。皆、白血病を患っているが、絵を描くことが好きで、自分の絵が缶のデザインになり、支援につながっていることをとても喜んでいるという。

シリアから治療を受けるためにヨルダンに逃れたタハニさんは、ヨルダンの病院で「手の施しようがない」と言われるが、その後も諦めることなく、親類のいる英国に逃れた。英国は難民の受け入れに難色を示していることを、タハニさんは幼いながらも感じているが、病気を治すために英国にとどまっている。彼女が描いたバラの絵は、今年のチョコ缶のデザインの1つになっている。

この時期、最大のイベントとなるのが子どもたちの絵画を展示する絵画展だ。今年は「イラク・シリアの子どもたちへ バレンタイン展」をテーマに、10日から15日まで東京都千代田区のギャラリー日比谷で開催している。

3階まであるギャラリーを貸し切り、1階にはチョコレートやアレッポせっけん、コーヒーや書籍などを販売、2階には子どもたちの絵画作品、3階にはプロの写真家や佐藤氏が撮影した写真などが展示してある。

チョコ募金でイラク・シリア難民の子どもたちに支援を バレンタイン展
歴代のチョコ缶デザイン

昨年、ヤジディ教徒の少女、マリアムさんが描いた絵画も、今回限りだが展示することになった。マリアムさんは、ヤジディ教徒が多く住むイラクのシンジャール出身。2014年に過激派組織「イスラム国」(IS)がこの地域を襲い、多くのヤジディ教徒たちが殺害、拷問、強かんなどの被害を受けた。少女は、襲撃の直前に家族と共に村を出て、シンジャール山中に隠れつつ、避難をした。

間一髪、ISからの襲撃は免れたものの、植物が育ちにくいシンジャール山には、彼女たちが口にする食べ物、飲み物はほとんどなかった。約1週間、飲まず食わずの生活を続け、その後、シリア側からクルド民兵が山を解放、イラク北部の都市ドホークに避難した。

避難の最中、さまざまなことを見聞きしたであろう彼女の作品は、絶望に打ちのめされ、疲れ切った表情でうつむく親子の絵、子どもの手を引き、うつろな表情で歩く女性の絵など、避難生活の過酷さを映し出したものが多い。しかし、難民キャンプに到着し、安心した様子で子どもを抱く女性の絵は、皆が笑顔で彼女たちを見守り、一筋の光を見いだしている様子がうかがえた。

佐藤氏によると、難民キャンプでは、子どもたちがサッカーや鬼ごっこのような遊びをしている様子をよく見かけるという。高校生くらいになると、スマホを持っている子どもも多く、日本の高校生と同じように、スマホゲームを楽しんだり、友達とSNSやメッセージを交換し合ったりしているとのこと。

「特に、ISから解放された直後の子どもたちや、街から逃げてきてキャンプに到着したばかりの子どもたちは元気ですよ。安心するのでしょうね」と佐藤氏は話す。

少数だが、難民キャンプにはキリスト教徒たちもいるという。ヤジディ教徒と共に、ISの攻撃対象となっていたキリスト教徒たちは、どんな生活をしているのだろうか。

佐藤氏は「キリスト教は世界的にネットワークがあるので、世界各地から医療支援をはじめ、あらゆる支援団体が入っています。現地のキリスト教徒の中には、他宗教の民族に強い警戒感を持っている人もいるようなので、同じ信仰を持つ団体に支援されるのは、彼らにとって大きな安心材料になるでしょう」と話した。

「イラク・シリアの子どもたちへ バレンタイン展」は15日まで。詳しくはホームページ

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