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遺族に慰めと癒やしを 聖イグナチオ教会で「自死された方々のためにささげる追悼ミサ」

2016年11月30日14時04分 記者 : 坂本直子 印刷
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+遺族に慰めと癒やしを 聖イグナチオ教会で「自死された方々のためにささげる追悼ミサ」
「自死された方々のためにささげる追悼ミサ」で祈りをささげる参列者=26日、聖イグナチオ教会(東京都千代田区)で
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苦しみの中で自死した人々に対する神の憐れみといつくしみを願い、「自死された方々のためにささげる追悼ミサ」(聖イグナチオいのちを守るプロジェクト主催)が26日、東京都千代田区の麹町カトリック教会(聖イグナチオ教会)主聖堂で行われた。250人が参列し、苦しみの中で自死した人々が、いつくしみ深い神の永遠の御国で安らかに憩うよう願い、悲しみの中で慰めと癒やしを必要としている遺族と祈りを共にした。

11月は、カトリック教会では死者の月に当たる。このミサは、この時期に合わせて毎年行われる恒例のミサとなっている。「開祭の儀」から始まり、「ことばの典礼」の中でヘブライ人への手紙2章10~18節とマタイによる福音書11章25~30節が朗読された後、司式を務める東京教区補佐司教・カリタスジャパン担当司教の幸田和生司教が説教を行った。

幸田司教は、1983年にバチカンから出された新しい教会法典、93年に出された「カトリック教会のカテキズム」、そして2001年に日本司教団が発表した「いのちへのまなざし 21世紀の司教団メッセージ」を通して、カトリック教会が自死に対する見方を大きく変えてきたことを説明した。その理由として幸田司教は、現実の自殺のほとんどが、自らの意思で自由に自分の命を絶つというものではなく、死ぬしかないと追い詰められての死だということが、次第に明らかになってきたためだと話した。

幸田司教は、人を追いつめる原因の中で共通している問題は「孤立」だとし、「悩みを抱え、苦しみを抱えていても、誰かとそれを分かち合い、支え合うことができれば、人はその困難を受け止めることができます」と語った。そして、「自殺を少しでもなくすために、人の痛みに無関心であることを乗り越えたいし、互いに支え合う関係を少しずつでも作っていきたい。その願いを込めて、このミサをささげます」と語った。

遺族に慰めと癒やしを 聖イグナチオ教会で「自死された方々のためにささげる追悼ミサ」
追悼ミサでは、司式を務めた東京教区補佐司教・カリタスジャパン担当司教の幸田和生司教が説教を行った。

続いて幸田司教は、「亡くなられた方々が、神の御手に包まれて永遠の安息に入っていると信じています。その信頼と希望の根拠は、イエス・キリストにあります」と伝えると、先ほど読んだ聖書箇所について話した。ヘブライ人への手紙の中で、「救いの創始者」であるイエス・キリストがとてつもなく大きな苦しみを受けなければならなかったのは、人々を救うために、全ての点で、兄弟たちと同じでなければならなかったからだと述べ、「イエスがとことん私たちの兄弟として生きた、そこに救いがあるのです」と話した。

また、マタイによる福音書の箇所を引用し、一人一人の重荷をイエス・キリストが一緒に担いでくれていると力を込め、同時にイエス・キリストが「私は、貧しく身分が低い。だから安心して弟子になりなさい」と全ての人に呼び掛けていると伝えた。

最後に幸田司教は、「人はそれぞれに十字架を抱えています。苦しみ、弱さ、孤独の十字架です。でも、その十字架が、あのイエスの十字架につながっていると気付いたときに、大きな力を頂くことができます。イエス・キリストはどんなつらい思いでも、共に担っていてくださいます」「十字架の死を超えて、永遠の命に入られたイエス・キリストと共に、私たち皆が、神の永遠の命にあずかることができる、そう信じて、亡くなった私たちの家族、友人を、いつくしみ深い神の御手にお委ねしましょう」と祈りの時を持った。

遺族に慰めと癒やしを 聖イグナチオ教会で「自死された方々のためにささげる追悼ミサ」
ミサの中で、奉献の心を表すパンとぶどう酒と共に、亡くなった人々の名前が奉納され、亡くなった一人一人と遺族のための祈りがささげられた。

「感謝の典礼」では、奉献の心を表すためにパンとぶどう酒、そして亡くなった人々の名前が奉納され、亡くなった人々と遺族のための祈りがささげられた。式は、「交わりの儀」「閉祭の儀」へと進み、「イエスのカリタス修道女会スモールクワイア」による閉祭の歌「元后あわれみの母」で厳かに締めくくられた。ミサの後には、参加者による茶話会も開かれ、4~5人のグループができ、シスターや司祭、スタッフも加わり、語り合いの時間が持たれた。

この日のミサを主催した「聖イグナチオいのちを守るプロジェクト」は、2010年に発足した。当時、聖イグナチオ教会では、09年1月に発表された日本カトリック司教協議会社会司教委員会の「2009いのちを守るための緊急アピール」を受けて、1年間、ドメニコ・ビタリ神父を中心に生活困窮者支援と自殺防止に取り組んでいた。その中で、自死遺族を支援することの大切さを感じ、教会の有志が立ち上げた。

代表を務める精神保健福祉士で信徒の岩田鐡夫さんは、父を自死で亡くし、また自らも苦しみの中で自死を考えた経験を持つ。岩田さんは、「カトリック教会では、神様から与えられた命を大切にするあまり、長い間自死を罪悪視してきました。このことは、日本司教団が『いのちへのまなざし 21世紀の司教団メッセージ』を出した後も根強く残り、特にカトリック信徒の自死遺族は、今も社会の偏見に加え、癒やしの場であるはずの教会でも口に出せない『二重の苦しみ』に襲われています」と話した。

「悩む人に寄り添う教会として、自死の悩みも語れるようにしたい」と考える岩田さん。この日の朝にも、千葉に住む人から、ミサに出たかったがどうしても行くことができないので、せめて式次第を送ってくれないかというメールを受け取った。参加したいと思いながらも、遠方だったり、高齢だったり、さまざまな事情で参加できない人も大勢いることを感じている。

同プロジェクトでは、教会の中で自死について話し合う場が必要だと考え、毎月第2水曜と第3水曜に自死遺族の集い「虹の会」を開催している。自死遺族が集まり、それぞれが抱える思いを語り合える場となっている。岩田さんは、「自分が話すことで、新たに気付くことがあったり、また、人の話を聞く中で新たに気付くことがあります」と話す。

事前連絡は必要なく、名前も言う必要はない。また、信徒でなくても参加できる。岩田さんは、「必ずスタッフが待っているので、ぜひ活用してほしい」と広く参加を呼び掛けている。

自死遺族のための「虹の会」
日時:(毎月)
第2水曜日午後6時半~8時(8月のみ午後5時~6時半)
第3水曜日午後2時~3時半
場所:聖イグナチオ教会信徒会館401号室 (東京都千代田区麹町6-5-1)

「聖イグナチオいのちを守るプロジェクト」に関する問い合わせは、岩田さん(電話:090・4959・0652、メール:te-iwata@mub.biglobe.ne.jp)まで。

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