2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの招致に絡み、日本側が国際陸上競技連盟(IAAF)のラミン・ディアク前会長(セネガル)の息子に関係する口座に、計130万ユーロ(約1億6000万円)を支払っていた疑惑があるという。英ガーディアン紙が11日伝えた。
同紙によると、日本の招致委員会または同委を代理する立場の者が7回にわたり、計約1億6000万円を、シンガポールの銀行口座に振り込んだとみられているという。ディアク氏は現在、ドーピング隠ぺいをめぐる汚職事件でフランス司法当局から捜査を受けており、同紙によると、日本側が支払ったとされる1億6000万円についても、フランス司法当局が捜査に乗り出しているという。
ディアク氏は1999〜2013年、国際オリンピック委員会(IOC)の委員も務めていた。東京オリンピック・パラリンピックの開催は、13年9月のIOC総会で決まっており、東京での開催決定について、影響力を行使できる立場にあったとみられている。
振り込みがあったとされるシンガポールの口座は、ディアク氏の息子パパマサッタ・ディアク氏と関係している口座で、パパマサッタ氏はIAAFからマーケティング・コンサルタントとして雇用されていたという。
同紙は日本オリンピック委員会(JOC)に取材を試みたが、広報担当者が1週間出張であるため、返答できないと言われたという。一方、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、招致期間に何が行われたかについては把握していないと返答。広報担当者は「組織委員会はそうした申し立てについては把握しておりません。東京が選考で最も良い提案をしたため、選ばれたと信じています」と応じたという。
一方、同紙は、今回の振り込み疑惑が電通に対しても疑惑を投げ掛けると伝えている。同紙によると、電通はIAAFとの間で2029年までの期間で包括スポンサーシップ契約を結んでいるが、ディアク氏がIAAFの会長職にあった最後の数カ月に、その契約期間がディアク氏により一方的に延長されたという。