30団体以上が出展「いのフェス」 アイドルグループも参加 「教会へのハードル下げた」の声も

2014年9月25日17時13分 記者 : 守田早生里 印刷
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30団体以上が出展「いのフェス」 アイドルグループも参加 「教会へのハードル下げた」の声も
座談会「ぼくらの時代のヒーローと宗教」の様子。左から、松谷信司氏(いのフェス実行委員長)、切通理作氏(評論家)、真船禎氏(演出家)、「怪獣同盟」のメンバー3人=23日、早稲田奉仕園(東京都新宿区で)

「いのり✩フェスティバル2014」(通称:いのフェス)が23日、有志の実行委員会主催により早稲田奉仕園(東京都新宿区)で開催された。当日は、教派・教団の枠を超えた30以上の団体が出展。個性豊かなブースを展開し、手作りの雑貨やお菓子の物販、活動発表などを行った。

メイン会場となったスコットホールでは、タイムスケジュールに沿ってさまざまなステージが行われた。昼過ぎからは、アイドルグループ「PIP(ピー・アイ・ピー)」のステージが行われ、続々と集まる若き男たちの集団に会場の雰囲気は一変した。PIPは、『前田敦子はキリストを超えた』の著者・濱野智史氏がプロデュースし、今年6月に結成されたばかりのアイドルグループだ。キリスト新聞社が出版する雑誌「Ministry」の中で、同誌の編集長でいのフェス実行委員長である松谷信司氏が、濱野氏にインタビューしたのをきっかけに、今回のコラボレーションが実現した。

昼12時半からのミニライブを前に、PIPが数ページ掲載されている「Ministry」を買い求めるファンや、ライブ後に行われるメンバーとの交流会で使われる聖書カードゲーム「バイブルハンター」を買い、熱心に説明書に目を通すファンまで、その純粋とも言える彼らの行動には脱帽。ライブが始まると、十字架を前に可愛らしい仕草で歌い踊るPIPに、ファンは「ヲタ芸」と呼ばれる踊りや掛け声で声援を送った。

30団体以上が出展「いのフェス」 アイドルグループも参加 「教会へのハードル下げた」の声も
十字架を前に歌う今年6月結成のアイドルグループ「PIP」のメンバーたち

ライブ後、一人のPIPファンにインタビューした。

「僕は、まだまだ(アイドルの)ファン歴は浅いです。4~5年くらいですね。キリスト教が何かはよく分かりませんが、今日はPIPがコンサートを行うということで、会場に来ました。雑誌も、後でメンバーとゲームができるカードも買いました」と、無邪気に答えてくれた。

「濱野氏の著書は、もちろん読みました。僕も同感です。キリスト教とアイドルオタク(通称:ドルヲタ)は、似ていると思います。僕たちにとって、彼女たち(アイドル)は、使徒なんですよ。幸せを運んでくれる使徒ですね。だから、彼女たちが行くところはどこでも行きたいし、何でも買いたいと思うのです」

そう語る彼に、「では、神様ではないのですね?神様は誰?もしくはどんな存在?」と聞くと、「神様は具体的には分からない。でも、彼女たちは、僕にとっては神様ではないですね」と答えた。

インタビューを進めていくうちに、聖書やキリスト教に関しても深い知識があると感じた。「そんなに知っているのなら、どうして教会に行ってみないのですか?」と聞くと、「それは違うんですよね。僕にとっては、たまたまアイドルを通して、興味を持って情報を得ただけ。でも、彼女たちの中の誰かが、『私、クリスチャンなんです』と言ったら、僕は教会に行ってみようと思います。彼女たちの誰かが聖書の勉強会を行うなら、それにも行ってみたいと思います。聖書も創世記から読んでみようと思います」と目を輝かせた。

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会場で購入したお揃いのTシャツを着て、「ヲタ芸」と呼ばれる声援を送るファンたち。Tシャツ正面には「使徒召喚」の文字が。

教会のイメージを聞いてみると、「オウム真理教の事件以来、宗教に関しては良いイメージがないというのが一般論だと思います。僕は、マイナスイメージもプラスイメージもありませんが・・・」と言う。

午後2時からは、2011年に召天した脚本家の市川森一氏の追悼トークライブとして、評論家の切通理作氏、演出家の真船禎氏、早稲田大学特撮映画サークル「怪獣同盟」による座談会が開催された。市川氏はウルトラマンシリーズを手掛けた名脚本家。DVDやビデオがなかった時代、子どもたちは夢中になってテレビにかじり付き、ウルトラマンを見るのを楽しみにしていた。同作には、聖書の登場人物と酷似している名前や設定が出てきたりと、キリスト教の影響を多大に受けていることはあまりにも有名な話だ。

「Ministry」は2010年に、市川氏のインタビュー記事を掲載している。当時インタビューを企画した松谷氏は、市川氏の自宅での撮影を希望していた。「ウルトラマンの人形かイラストと一緒に撮影させてもらったらいいかな、なんて思ってました」と座談会で話した。しかし、市川氏側の事情でそれはかなわず、松谷氏の兄が牧師であり、市川氏の自宅からも近かった日本基督教団麻布南部坂教会でインタビューと撮影を行った。

ここから主が導いてくださったような奇跡が起こる。市川氏は、同教会の会員である真船氏と数十年ぶりに再会。「帰ってきたウルトラマン」の脚本家と演出家の最強タッグが再会を果たしたのだ。教会生活から離れていた市川氏だったが、この再会を機に「僕もまた教会に行ってみるよ」と約束したのだという。

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交流会で聖書カードゲーム「バイブルハンター」を楽しむPIPのメンバーとファン

2011年6月に市川氏が天草四郎を描いた長編歴史小説『幻日』を出版。直後の7月、8月は約束通り、毎週熱心に教会の礼拝に来ていたという。9月からパタリと来なくなった市川氏を、「また忙しくなったのかな」と思っていたと真船氏。10月、真船氏は市川氏が肺がんに侵されていることを知った。本人に会いにいこうとしたが、すでに面会謝絶。そのまま地上での再会を果たすことなく、市川氏は同年12月に召天した。

ウルトラマンは、一貫して「善と悪の戦いだ」と真船氏は話す。それは人間の心の問題と同じ。善は神、悪は人の心の中にあるもの。ウルトラマンエースは地球を去るときに、「優しさを失わないでくれ」と言って旅立って行った。「これこそ市川氏が伝えたかったキリスト教の精神なのでは」と語った。

30団体以上が出展「いのフェス」 アイドルグループも参加 「教会へのハードル下げた」の声も
物販コーナーの様子。キリスト教団体など約30団体が出展した。爽秋の一日を多くの来場者が楽しんだ。

その後、座談会を客席で聞いていたという「怪獣同盟」のメンバーに話を聞いた。

教会には行ったことがないという彼は、市川氏がクリスチャンであることをファン同士の会話の中で知ったという。「市川氏は、『優しさを失わないで』というメッセージを、ウルトラマンを通して僕らに伝えてくれた。聖書は読んだことがないけれど、今日の話を聞いて、ますます興味が沸いてきました」と話す。今回のイベント自体について尋ねると、「サブカルチャーとキリスト教というある種異質なコラボレーションで、とてもおもしろいと思った。教会というと、僕のような関係のない人間は入っちゃいけない場所だと思っていた。でも、良い意味でそのハードルを下げた」と話してくれた。

「拓け!未踏の開拓地(パラダイス)!」と副題が付けられたこのイベントには、まさに「未踏の開拓地」が目に見える形でそこにあった。「ドルヲタ」も、怪獣マニアも、そしてクリスチャンも皆、神に愛されている。同人誌用語で「誰でも大好き」を「DD」と言うのだと、ファンの一人が教えてくれた。それならば、主イエスは「DD」。このイベントに集った一人ひとりが「DD」であるイエスの愛に触れ、爽秋の一日は暮れた。

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